アニメエキスポ2011: 「ファンのための年」は大きな成功に

■ コスプレ、パネル、そして忘れがたいコンサート

Photography by Alex Strange

 他の多くのアニメコンベンションがそうであるように、大勢のコスプレイヤーが会場で四六時中歩き回っていた。それは会場の外、ロサンゼルス市街の付近の道筋でも同様だ。コスプレの多くは最新作のキャラクターである。特に人気なのはボーカロイドのキャラクター、『魔法少女まどか☆マギカ』、『Panty&Stocking with Garterbelt』、そして東方Projectのキャラクターである。

 パネルや講演プログラムもある。今年は3日間にわたるアカデミックプログラムが設けられたほか、幅広いトピックスをカバーする。いずれも来場者は多い。ただし、スケジュール管理の問題はあり、多くのパネルでファンによるQ&Aの時間が削られた。
 アニメエキスポでは、アニメ企業が主催するインダストリー・パネルで多くの新規ライセンス獲得作品が発表される。ライブイベントでのライセンス獲得発表のインパクトは、全体として以前より小さくなっている。近年はインターネットでの盛り上がりも期待されるほどではなくなっている。それでも、アニプレックスUSAの『魔法少女まどか☆マギカ』の発表は、コンベンションの会場で最も期待されていたタイトルだっただろう。

 さらに多くの新作やキャラクターが、コンベンションで関心を惹いていた。なかでもボーカロイドに対する関心が際立っていた。来場者はホールを入ると直ぐに初音ミク仕様のブランドカーに迎えられる。そして会場には、数え切れないほどボーカロイドのコスプレイヤーが広がっている。
 また、期間中オフィシャルとファンによる2種類のボーカロイドパネルが、何千人ものファンを集めた。エキビジョンホールの巨大なMikunopolis公式ブースは、熱狂的なファンや関心を持ったファンで、一日中ほとんど絶えることなく取り囲まれた。さらに様々なイベントが、海外のファンにボーカロイドのソフトウェア、音楽、アートの日本のクリエイターと出会う機会を提供した。
 しかし、これらイベント全ての中でも、アニメエキスポにおけるポーカロイド進攻の目玉は、土曜日の夜に開催されたボーカロイドのライブコンサートであった。ロサンゼルスの日が落ちた後、多くの人たちが会場となるノキアシアターを取り囲み埋め尽くした。ノキアシアターは、アニメコンベンションでは普段ではあまり想像出来ないような光景になっていた。
 熱心なファンは12もの長い入場列となり、同時にトヨタがスポンサーとなりプレゼント配布が行われたイベントもあり、「World is Mine」のようなボーカロイドの曲をスピーカーで聞くことができた不思議な風景であった。途方に暮れた地元のベテランのテレビニュースカメラマンは、彼自身のキャリアの中でもこんな体験はいままでになかったと語った。

 

Photography by Randy Au

コンサート自体は素晴らしい体験だった。プロジェクターで映しだされた初音ミクは、フルバンド、そして弦楽セクションに囲まれていた。さらに正面には、緑色のサイリウムの海がファンと共に延々と続いた。最初から予想された様に、多くのファンからリアクションが大きかったのは「Poppipo」や「初音ミクの消失」といったアップテンポな名曲だった。ファンに人気の高い鏡音リン・レン、巡音ルカの短いステージも同様にリアクションが大きかった。
 しかし一方で、ミクが歌った新しい英語歌詞の曲のリアクションは微妙だった。ファンの一部もある曲が英語で歌われていること自体を全く気付いてなかった。一方、多くの観客がコンサートで歌われていた日本語の歌詞をほとんど理解していないという事実もあった。それでもエキサイティングな音楽、印象的なパフォーマンス、コンサート全体のスペクタクルが、多くの人に強い印象を残し、心を動かしたことは間違いない。
  
 全体的にみればアニメエキスポ2011は、飛びぬけた経験だった。まさにキャッチフレーズの「ファンのための年」どおりだ。にもかかわらず、日本コンテンツの市場の見通しは、いまだ不安定だ。しかし、このイベントが見せたのは、熱狂的なファンによるコア向けの市場がいまだ消えていないということだ。
 Mikunopolisイベントの主催者の様なコンベンションの勝者が、今後もこの市場から利益を生み出し続けられるかは即断出来ない。しかし、少なくともそれを続けることは、日本のコンテンツクリエイターにとって価値があるように見える。
[翻訳:数土直志]

    

Photography by Alex Strange