アニメエキスポ2011: 「ファンのための年」は大きな成功に

アニメエキスポ2011: 「ファンのための年」は大きな成功に

取材・文: ランソム・功
1987年生まれ。アメリカ南部のアトランタ市出身。現在日本滞在で日本コンテンツ、サブカル系中心のフリー翻訳者・ライター。12歳の時にアニメコンベンション初参加で、それ以降様々な形で米国と日本のアニメイベントに参加している。

 

 7月1日から4日まで、ロサンゼルスで開催されたアニメエキスポ(Anime Expo)は、20周年を迎えた今年を「ファンのための年(the year of the fan)」と定めた。このタイトルは例年以上に多くのファンを動員した今年のコンベンションにまさに相応しいものであった。一方で、コンベンションは、回復に向けて動き出しつつある北米の日本コンテンツ企業によっても支えられている。
 今年のアニメエキスポ開催にあたっては、運営陣の突然の交代や、同日程で開催されるライバルイベント(AM2)の登場、東日本大震災の発生といった幾つもの懸念される出来事があった。しかし、イベントのクオリティの高さ、そして過去最高の実数47000人以上(延べ12万5000人以上)という来場者もあり、会場は満足感に包まれていた。

■ エキビジョンホールは大盛況: 業界にとってポジティブな兆候になるか?

Photography by Alex Strange

 エキビジョンホールの入り口正面の様子は、現在の米国アニメ産業の状況を体現化しているかの様だった。ファニメーション、NISアメリカ、バンダイ・エンタテインメント/アニプレックスUSAからは共同ブースが、入り口正面を陣取った。
 ファニメーションは、多数の作品のプロモーションを積極的に行っていた。とりわけ『ラストエグザイル-銀翼のファム-』が、多くの参加者に最も強い印象を与えたに違いない。期間中ワールドプレミアイベントが行われ、多くの作品スタッフが日本からアニメエキスポに参加したからだ。
 NISアメリカの大型タイトルは『荒川アンダーザブリッジ』である。この作品からはファンに人気の高い声優の沢城みゆきさんが現地に姿を見せた。一方、バンダイ・エンタテインメントも、『けいおん!』のプロモーションに力を入れる。米国版の声優陣によるエネルギッシュなコンサートなどが行われた。
 最初にもふれたようにバンダイ・エンタテインメントとアニプレックスUSAはブースを共有している。そのアニプレックスUSAは、期間中に幾つものライセンス獲得を発表し、このなかには話題作の『魔法少女まどか☆マギカ』も含まれていた。ただ、この発表自体は、ファンに驚きを与えなかった。
 また、動画配信サイトのクランチロールの大型ステージがそれらに隣接して設けられた。さらにその先、エキビジョンホールの奥には、メディア・ブラスターとセンタイ・フィルムワークスが存在する。センタイ・フィルムワークスは人気作『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』、そして最新作『Angel Beats!』の売り込みに力を入れる。

 今年のアニエキスポには、もうひとつ英語版日本アニメの配信と同時配信の領域でも大きな変化が起きた。ニコニコ動画がアニメエキスポに登場し、さらに2011年夏シーズンより6作品の日米同時配信を開始すると発表した。
 ニコニコ動画はライブ中継の大型ブースを構えただけでなく、会場で大量のTシャツをファンに配り、多くのファンがそれを身につけるなど、その存在感はアニメエキスポの会場で際立っていた。思惑どおりに海外マーケットに強いインパクトを残した。
 さらにVIZ Mediaの存在がある。数週間後にサンディエゴ・コミコンがあるにもかかわらず、VIZ Mediaはアニメエキスポの参加機会を見逃すことはなかった。会場での活動はiPhoneアプリのプロモーション、さらにより幅広い層への広がりに可能性を持つ『豆しば』や『レイトン教授』シリーズだ。

Photography by Alex Strange

 こうしたエキビジョンホールの活気は、正面の大型ブースだけではない。来場者数が過去最高に達したと公式発表がされたが、賑やかな会場を見ればそれは疑いようもない。
 エキビジョンホールのショップ経営者たちは、昨年より売上げが伸びたと明るく報告した。また、このうち何人かは、販売という点では、これまで参加したアニメエキスポで最高だったとも語った。アニメエキスポは、同時期に開催された他のイベントの存在感を薄くさせたほど好調だったようだ。
 ひとつの週末だけを取り上げて、北米における日本コンテンツのコア向け市場について語り、結論づけるのは難しいに違いない。それでも、ショップ経営者の雰囲気は失望からはほど遠いものだった。

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