ニコ動英語版 海外にアニメ同時期配信開始 夏期6作品

 ニコニコ動画英語版(niconico β)は、この7月から日本のテレビ放映と同時展開で、新作アニメの海外英語圏向け配信をスタートした。まず、7月2日にTOKYO MXなどで放映開始した『うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE1000%』を番組放映直後に配信した。
 さらに7月7日には2012年の劇場映画化も予定する新作『BLOOD-C』も配信する。開始は7月7日のMBSでの放映直後、MBSより放映が1日遅れる首都圏(TBS)よりも早いスピード感のある展開だ。
 ニコニコ動画英語版は、このほか『快盗天使ツインエンジェル』(配信スタート7月4日)、『いつか天魔の黒ウサギ』(同7月8日)、『R-15』(同7月9日)、『ダンタリアンの書架』(同7月15日)もラインナップする。これらの視聴はニコニコチャンネル(Nico Nico Channel)を通じて全て無料となっている。
 視聴可能地域は米国、カナダ、英国、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカの英語圏の主要6カ国。アニメの夏の新番組6タイトルが、ニコニコ動画を通じて海外に送り届けられる。

 ニコニコ動画英語版は、この4月から本格稼動したばかりだ。しかし、その展開は早い。4月にはサービススタートとほぼ同時に、シアトルのサクラコンからニコニコ生放送を実現、さらに7月にはロサンゼルスの大型アニメ・マンガイベント アニメエキスポからも大掛かりなライブ配信を行っている。
 新番組の配信はスタートから3ヶ月足らず、国内で同じサービスが本格的にスタートしたのは昨年の夏シーズンである。かなりのハイピッチの事業展開だ。

 これまでのところニコニコ動画英語版は、自社ポータル、イベントでのブース出展以外、ほとんど宣伝をしていない。また、メディア向けのプレスリリースも行っていない。このためサイトの存在は、コアなアニメファンなどだけが知るだけで、その視聴再生回数は必ずしも多くない。
 しかし、夏新番組6タイトルの投入は、ユーザー獲得の大きな起爆剤となる可能性が大きい。とりわけ北米で熱狂的なファンが多いCLAMPがスタッフに参加する『BLOOD-C』の動向は注目だ。

 米国で新作アニメの同時展開をするのは、ニコニコ動画が初めてでない。現在、サンフランスコに本社を持つ動画配信専業のクランチロール、小学館・集英社系の現地法人VIZメディア、アニメパッケージ最大手のファニメーションなどがある。また、これらの会社を通じて、Huluなどの大手配信サイトでも同様のサービスが行われている。
 しかし、VIZメディア、ファニメーションは、自社が映像パッケージのライセンスを持ち、キャラクター商品も展開する有力タイトルにフォーカスしており、扱いタイトル数は必ずしも多くない。ニコニコ動画と似たサービスを提供しているのはクランチロールである。

 実際に、ニコニコ動画の英語圏進出で、クランチロールは大きな影響を受けているとみられる。クランチロールは、現在の発表で2011年夏シーズンに合計16作品を日本と同時展開する。その数は、ニコニコ動画の3倍近くになるが、大半は『NARUTO-ナルト-疾風伝』、『Bleach』などの前シーズンからの継続タイトルである。7月からの新番組は『ゆるゆり』、『神様ドォルズ』、『夏目友人帳 参』の3タイトルのみだ。これまでであれば、クランチロールで配信されたものがニコニコ動画英語版に移った可能性が強い。
 それでも視聴再生回数が圧倒的に多いクランチロールのファンへの波及度の大きさは魅力だ。今後、ニコニコ動画の人気が英語圏でも定着するのか、ニコニコ動画は新たな海外同時展開の重要なインフラとして成長するのかが注目される。

ニコニコ動画英語版(niconico β) http://www.niconico.com/