クランチロールがライブ配信に進出 米国アニメイベントなど

 インターネットを通じた日本アニメ海外配信のクランチロール(Crunchyroll)が、ライブ配信に進出する。「live stream」のセクションを設置、5月27日から30日にカリフォルニア州サンノゼ市(シリコンバレー)で開催されたファニメコン(Fanimecon)で第一弾の配信を行った。
 6月10日から12日までは、テキサス州ダラス市で開催中のA-KONの模様を配信している。A-KONは1990年にスタート、日本のアニメとマンガを扱った米国のイベントで、現在まで続くものでは最も歴史が古いとされている。

 クランチロールは日本アニメやアジアドラマなど配信ライセンスを獲得した既存の番組を北米などの世界各国に配信し、人気を集めて来た。今回はそうした番組に、イベントのライブ中継という新たなジャンルを加える。現在はβ版とされているが、今後さらにラインナップの強化がされそうだ。
 これらのライブ配信は日本からの視聴も可能となっている。クランチロールのアニメ配信は、ライセンスの関係から日本から視聴出来ないものが多い。しかし、イベントの配信は同社独自のコンテンツとなるため、日本から視聴することが可能だ。
 近年、海外での日本アニメ・マンガのイベントが話題になることが増えている。しかし、海外ということもあり日本からの参加はなかなか難しい。日本から会場の雰囲気を手軽に味わうことが可能なものとなっている。

 ライブ配信の進出には、いくつか理由がありそうだ。ひとつはこの春から日本の動画配信サイト ニコニコ動画が米国に進出し、米国のオタク層に向けてアプローチしていることだ。
 正規の番組配信のクランチロールと投稿動画、ライブ放送を中心とするニコニコ動画では視聴ターゲットは異なる。しかし、日本では番組配信も手掛けるニコニコ動画の米国進出は、クランチロールにとってはライバル企業の出現に映るに違ない。
 そこで逆に自身が、ニコニコ動画のコア事業であるライブ配信に進出する。スタートしたばかりのニコニコ動画英語版に対して、既に世界全体で600万人を超える視聴ユーザーを誇るクランチロールがより優位に立てるとの狙いがあるだろう。

 もうひとつはクランチロールのビジネスモデルが、ここに来てやや修正されているとみられることだ。これまでは有料会員制によるユーザーからの課金と無料会員の視聴に対する広告収入のふたつを核にしていた。
 しかし、無料の視聴ユーザーが巨大になる一方で、有料会員は伸び悩んでいる。そこで、ビジネスの中心は以前より広告寄りになり、さらにサイトの持つ集客力を活かしたアニメ関連商品、キャラクターアプリの販売などの新規事業開拓に力を入れる。
 クランチロールはもともと作品を通じたフォーラムでのコミュニケーションに強みを持っており、これをさらに強化することで集客を目指すとみられる。この春から始まったアニメ・マンガニュースの配信と同様、ライブ配信番組はサイトのコミュニケーションを高めるものになるに違いない。

クランチロール(Crunchyroll) http://www.crunchyroll.com/
クランチロール・ライブ http://www.crunchyroll.com/live