世界最大の書店B&Nに メディア複合企業買収提案

 5月19日、米国最大、そして世界最大の書店チェーンであるバーンズ&ノーブル(Barnes & Noble)は、同国のメディアコングロマリット リバティ・メディア(Liberty Media)から買収提案を受けたことを明らかにした。買収価格は1株17ドル、市場での前日終値の20%のプレミアをつける。
 バーンズ&ノーブルは昨年来、自社を買収する企業を探して来た。しかし、今回の提案に対しては検討委員会を設置し、判断は現在保留中である。
 一方、リバティ・メディアでは、株式のおよそ70%の取得を目指すとしている。買収総額はおよそ7億ドル(600億円弱ドル)に達する見込みだ。しかし、買収提案をきっかけにバーンズ&ノーブルの株価は急上昇、週末の終値は18.33ドルとなった。市場では買収価格が17ドルからさらに引き上げられると見ているようだ。

 バーンズ&ノーブルは、およそ700の一般書店に加えて、600以上の大学内の書店を運営する。今年2月に、米国第2位の書店チェーン ボーダーズ(Borders)が経営破綻し、店舗を大量に閉店したことから、書籍販売店としての市場支配力が強まっている。2010年の売上高はおよそ58億ドルで、純利益は3660万ドルである。
 しかし、こうした業績もライバル企業のボーダーズの不振に助けられていた面もあり、同社を取り巻く環境は決して楽観出来るものではない。アマゾン・ドットコムなどのネットショップの急成長、電子書籍マーケットの拡大に伴い、一般書籍を中心とした経営は長期的には厳しい局面にある。
 そうした中で、自ら電子書籍市場に進出する意欲も高く、独自の電子書籍リーダー「NOOK」を展開している。ただし、今後電子書籍をはじめとするデジタル関連市場の開拓を続けるにあたっては、充分な投資資金が必要とみられる。そこでバーンズ&ノーブルは、昨夏以来、経営体制の抜本的な見直しと自社の買収先企業を探っていた。

 一方今回買収に名乗りを上げたリバティ・メディアは、持株会社を中心にリバティ・キャピタル、リバティ・スターズ、リバティ・インタラクティブの主要3社から構成される。複数のメディアコングロマリットに投資するほか、映像事業会社のスターズ・メディア(Starz Media)グループを保有することで知られる。
 スターズ・グループは映画・番組製作・制作・流通、さらにCATVチャンネル運営、映像ソフト事業を行なっている。アニメーション関連では制作会社フィルム・ローマン(Film Roman)を保有するほか、今年春までスターズ・アニメーション(Starz Animation)を保有していた。日本のアニメ関係者には、日本アニメビジネスのマンガ・エンタテインメント(Manga Entertainment)の親会社として知られている。

 一般的には映像分野のエンタテイメントが得意とみられるリバティ・メディアのバーンズ&ノーブル買収提案はやや奇異に映る。しかし、その鍵はバーンズ&ノーブルが進める電子書籍リーダーNOOKとデジタル関連事業にありそうだ。NOOKは市場で一定の存在感があり、これはデジタルメディア配信に関心のある企業にとっては魅力的だろう。
 さらに同社の高いブランド価値と、知識層や大学を中心とした優良顧客も関心を惹いた可能性もある。もし買収が成功すれば、電子書籍と映像、デジタルの思わぬ融合が進むかもしれない。

バーンズ&ノーブル(Barnes & Noble)
http://www.barnesandnobleinc.com/
リバティ・メディア(Liberty Media)
http://www.libertymedia.com/