経産省 「クール・ジャパン官民有識者会議」提言を公表

 5月12日、経済産業省は日本文化のビジネス展開、海外展開を検討する「クール・ジャパン官民有識者会議」の取りまとめたクール・ジャパン戦略の提言を公表した。同会議は2010年秋に設立され、8回にわたり検討会議を行ってきた。
 提言では4つの政策の柱を掲げる「日本ブランドの発信」と「東日本の復興への貢献」、「創造基盤の構築」、「海外展開」である。そのうえで日本の伝統、独自性、日本文化の伝播に主眼置き、個別の政策が示されている。

 具体的な施策は、日本ブランドの情報発信のための戦略チームの設置、地域産業・コミュニティの再生プラン、観光振興のキャンペーンの実施、クリエイティブ関連のイベントや国際賞の設置などをはじめど様々な領域に及ぶ。コンテンツ関連分野では、マンガ・アニメ分野の統計整備、発信、アニメ分野での二次利用のルール作成とその促進、人材育成、新たなビジネスモデルの提言が触れられている。
 また、海外展開では、クール・ジャパン戦略で現在関連分野でおよそ3.2兆円ある海外ビジネスを2020年までに主要18ヶ国で8兆円から11兆円まで拡大すること目指す。中国市場でのファッション、東南アジア市場での食・コンテンツなど地域ごとのターゲット分野が特徴となっている。

 今回の提言全体に窺われるのは、経済産業省の考える「クール・ジャパン」の定義拡大とそれに伴う政策の変化だろう。一般的にはクールジャパンという言葉には、アニメ・マンガ・ゲーム・音楽・映画などのコンテンツ産業、エンタテイメント産業、そこから派生するストリートファッションやアートなどを思い浮かべることが多い。
 しかし、ここではその筆頭にものづくり、地域おこしが挙げられており、さらに食、ファッション、デザインに言及する。提言においてコンテンツ産業にふれた部分は必ずしも多くなく、「クール・ジャパン官民有識者会議」の掲げるクール・ジャパンの中核はむしろ伝統工芸や地域産業、日本食、大衆向けのファッションであることが理解出来る。また、提言の各所に精神や伝統といった盛り込まれてことから、現代文化と同時に伝統文化を再び強く発信したいといった考えも浮かび上がって来る。

 そうした方針は海外展開でも同様だ。海外に向けた先行プロジェクトのひとつに、フランスの大型イベント ジャパンエキスポ2011での活動が挙げられている。本年は東日本などの日本各地の地域産品やアパレル、食の展示を中心に行うとしている。また、この展示を楽天のeコマース基盤を活用した継続的ビジネスにつなげるとする。これまでのコンテンツ産業のアピールから、伝統・食・ファッションのプロモーションといった側面が強まっている。
 クール・ビジネス関連領域の拡大するが、現在は各産業間の関係はあまり高くない。「クール・ビジネス」として統合的に展開するには、当事者にとっては戸惑いもあるかもしれない。それだけに経済産業省をはじめとする関連機関の統合的なマネジメント能力が、これまで以上に求められることになるだろう。

経済産業省 http://www.meti.go.jp/
クール・ジャパン官民有識者会議 提言について
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/seisan/cool_japan/2011_houkoku.html