翻訳マンガTokyopop 北米マンガ出版から完全撤退

 北米における日本マンガ市場のパイオニアとして知られるTOKYOPOPが、2011年5月末でマンガ出版業務を停止する。過去3年間で北米の日本マンガ市場、米国産マンガ市場が急激に縮小していることが、同社の大きな決断につながったとみられる。
 TOKYOPOPは既に数年前よりマンガ出版から、映画制作、番組制作などの映像事業を拡大している。今後は、こうしたサブカルチャー領域の映像製作に事業特化するとみられる。また、同社のグループ会社として独自に展開するドイツのTOKYOPOPは事業を継続する。

 TOKYOPOPは、1997年にスチャーアート・リービ氏が設立した。本社を東京、事業拠点をロサンゼルスに構えている。2001年に日本マンガ翻訳出版のスタイルを大胆に変更することで、その市場を急拡大したことで知られる。それまでは日本マンガの出版は、アメリカンコミックスのフォマートに変えらるのが普通だったが、マンガ独特の右開きや単行本スタイルを北米に導入した。
 また、大手書籍小売りチェーン ボーダーズと連携したマーケティングを進め、一般書店へのマンガ導入に成功した。現在、北米でも人気の高い日本マンガの普及の立役者となった。

 しかし、かつては日本マンガの翻訳出版市場の8割を占めたとされてきたTOKYOPOPだが、近年は存在感を低下させていた。ひとつは、自ら起こした日本マンガブームの結果、翻訳ライセンスの獲得競争が激化したためである。
 小学館、集英社、小学館集英社プロダクションが出資するVIZメディアが、「少年ジャンプ」を中心に一橋グループの作品で優位にビジネスを展開。講談社がデルレイ、スクウェア・エニックスがエン・プレスとの関係を強めるなど日本の人気作品の囲い込みが強まったためである。
 同社はOELと呼ぶ、米国産のマンガ、韓国マンガの導入を進めた、また早くから電子出版に進出するなどで対応したが、こうした劣勢を取り返すに至らなかった。

 さらに00年代後半からは、違法配信の影響を受けたマンガ市場全体の落ち込みも同社の経営に打撃を与えたとみられる。近年は、事業縮小や人員整理で事業の均衡を目指していた。
 しかし、マンガ市場の縮小に反転の兆しが見られないこと、さらに今年2月に長年事業関係の深かったボーダーズが経営破綻したことなどが今回の決定につながったとみられる。 

 北米の日本マンガの翻訳出版では、現在、急激な業界再編が続いている。2010年にDCコミックス系のCMX、宙出版系のオーロラ・パブリッシングが、マンガ事業から撤退した。また、ランダムハウス系のデルレイはマンガ出版業務のほとんどを講談社USAパブリッシングに移管している。一方で、講談社USAは今後積極的に市場開拓を進める方針である。
 そうしたなかで、かつて市場のほとんどを占めていたTokyopopの撤退は、北米マンガ市場の大きな転換をさらに印象付ける。

Tokyopop  http://www.tokyopop.co.jp/