「遊戯王」「ポケモン」の米国4キッズ連邦破産法第11条申請

 米国のキャラクター会社4キッズ・エンタテインメントは、2011年4月6日に連邦破産法第11条をニューヨーク地方裁判所に申請し、経営破綻した。今後は現在の事業を継続しながら、裁判所の管理のもと経営再建を目指す。
 4キッズエンタテイメントは、日本のアニメとキャラクタービジネスで急成長したことで知られる。米国でも人気の高い『遊戯王』、『ポケットモンスター』など、多数の日本アニメを扱ってきた。現在の取り扱い作品は『遊戯王』シリーズ、『恐竜キング』などに限られるが、かつては日本アニメビジネスで大きな存在を誇っただけに、その経営破綻は大きな波紋を呼びそうだ。

 連邦破産法第11条申請のきっかけとなったのは、3月24日に日本のテレビ東京とアサツーDKによる480万ドルの未払いのライセンス料支払いを求める提訴と『遊戯王』のライセンス停止通告である。4キッズの企業業績は2010年まで5期連続の最終赤字に転落していることもあり、有力なライセンスである『遊戯王』の喪失、日本企業から要求された未払いライセンスの支払いは業績に深刻な影響がある。4キッズはこれまでも、破産法第11条申請の可能性があることを強調していた。
 今回の破産法第11条申請の決定について、同社の社長マイケル・ゴールドスタイン氏は「(日本の)ライセンサー側と和解をする努力を行なったが合意に達することが出来ず、会社のビジネスと資産を守るため選択した」と述べている。

 実際に今回の破産法第11条申請は経営破綻であると同時に、日本のライセンサーに対するビジネス的な対抗手段との側面もある。経営破綻としつつも、4キッズは未だ少なくない現金資産を保有しており、債務超過にはなっていない。取引相手に対する支払いも滞っているわけでない。
 一方で、破産法第11条に基づき4キッズは現在抱えている全ての訴訟、債権回収を一旦停止する。これにより4キッズはテレビ東京とアサツーDKとの法廷闘争を先送りしたうえで、現在のビジネスを継続することが可能になる。いずれは決着しなければならない問題だが、経営破綻を背景に裁判所の管理下で交渉が可能になる。テレビ東京とアサツーDKにとっては、なかなか難しい局面だ。

 4キッズ・エンタテインメントは、米国のキャラクター・アニメーションのライセンス事業などを手がける有力会社であった。日本作品だけでなく、米国内、ヨーロッパの作品なども広く扱う。しかし、1990年代終りから2000年代初頭にかけての急成長は日本アニメ作品に負う部分が大きかった。特に事業を牽引したのは『ポケットモンスター』、『遊戯王』シリーズで、このほかに『シャーマンキング』、『おジャ魔女どれみ』、『東京ミュウミュウ』など多数の人気作品を手がけた。
 同社のビジネスの強さは欧米のエンタテイメントビジネスにおけるネットワークの強さ、とりわけ有力テレビ局への放映権の販売、放映枠の確保である。FOXやThe CWなどの地上波ネットワークに4時間から5時間の放映枠を買い取り、自社がライセンスを持つ作品を集中的に放送、作品やキャラクターのライセンス販売につなげた。ビジネスのピークは売上高が1億ドルを超えた2003年、2004年である。

 しかし、2000年代半ばから企業業績が急失速する。売上高の減少は、2005年末に『ポケットモンスター』のマスターライセンスの契約が終了したことが大きかった。一方利益面では、同社が2006年よりスタートした自社オリジナルコンテンツ『Chaotic』のビジネス的な失敗が響いた。4キッズは『Chaotic』のカードゲーム、テレビアニメーションの開発・制作に多額投資を行なっていたためである。
 2010年には『Chaotic』事業から撤退、日本アニメ回帰を表明していたが、売上高は1450万ドルまで縮小、同年暮れには長年CEOを務めてきたアルフレッド・カーン氏が引退と厳しい経営状態が続いていた。