アジアもサブカル新時代 新興国で広がるコミコン

 コミコンの名前に代表されるポップカルチャーのファンイベントは、欧米や日本などはお馴染みの存在だ。コミコンの名前の由来ともなった米国のサンディエゴ・コミコン(コミコン・インターナショナル)や日本のコミックマーケット、パリのジャパンエキスポなどが代表的な存在である。イベントの性格はいずれも異なるが、ファンに向けてコミックスやマンガ、アニメ、映画、フィギュア、ゲームなどサブカルチャーを幅広く扱うことが共通している。
 こうしたサブカルチャーイベントは、1990年代後半から現在に至るまで世界的に急成長している。多くのイベントは参加者数が一貫して増加しており、隠れた成長産業としてファンイベントとしてだけでなく、ビジネス的にも急激に注目を集めている。

 こうしたビジネスの関心が、ここ1、2年でさらに東南アジアから西アジア、中東地域まで拡大している。2010年から2011年にかけて、地域の主要都市シンガポール、インド・デリー、アラブ首長国・アブダビで次々とコミコンと名前のつくイベントが立ち上がった。
 最も早かったのは、シンガポールのトイ・ゲーム・コミック コンベンション(Singapore’s Toys, Games and Comic Convention: STGCC) 2010である。第1回は開催3日間で4万5000人もの来場者を集める大成功に終わった。
 インドのイベントは、2011年2月19日から20日の2日間インドの首都デリーで行われたインディアン・コミコン(Indian Comic Con)である。インド初のコミックコンベンションを掲げ、1万5000人もの動員を実現しこちらも大成功に終わった。その成功から既に第2回2012年の開催を決めている。
 さらにアブダビでは2011年暮れを目途にミドルイースト フィルム&コミコン(Middle East Film& Comic Con)を計画する。運営団体は異なるが、サンディエゴ・コミコンをモデルにした企画は、コミックス、映画のほか、フィギュアや日本のアニメ、マンガも取り扱う。中東では比較的自由な雰囲気を持つアブダビだが、1万人から1万5千人の参加者を目指すサブカルチャーイベントは野心的だ。

 これらのイベントに共通するのは、運営がビジネスに密接に結びついていることだ。ファン団体から生れた欧米のイベントと対照的である。シンガポールのイベントは国際的な見本市企業リードグループが主催する。国際番組見本市アジアTVフォーラムと同時開催し、ビジネスイベントとコンシュマーイベントを連動するなど専門企業ならではの巧みなマーケティングが目指されている。インドとアブダビでは、地元の広告企業が主催者となっている。
 欧米の大型イベントが近年急激にビジネス色を強めていること、そして新興国でポップカルチャーのファンが増加し、購買力が増していることが商業ビジネスとして立ち上げられた理由である。世界経済の大きなパラダイムシフトの一面とも言えるかもしれない。

 こうした海外での出来事は、日本にとっても無関係ではない。STGCCでは日本のアニメやマンガも主要コンテンツとして扱っており、ミドルイースト フィルム&コミコンでも日本のアニメ・マンガをイベントのテーマにひとつとして挙げる。日本コンテンツは、イベントの主役のひとつだ。これらは、日本のコンテンツの紹介が難しいとされる新興国でポップカルチャーを紹介する場として活用出来る可能性を感じさせる。
 一方で、今後、同様のイベントが増えれば、現在世界各国で人気を集めている日本コンテンツだけのイベントがこれらに押される可能性もある。シンガポールではSTGCCの開催とほぼ同じ時期に日本コンテンツだけに絞ったAFAXの第3回が開かれたが、動員はSTGCCのおよそ1/3の1万6000人だ。
 そうでなくても、日本と欧米、特に米国の有力タイトルが並ぶことで、日本コンテンツの力が試されることになるだろう。新興国で今後も増加するとみられるサブカルチャーイベントは、日本のコンテンツを発信するうえで、今後も注視していく必要があるのでないだろうか。
[数土直志]

シンガポール・トイ・ゲーム・コミック コンベンション
Singapore’s Toys, Games and Comic Convention 2010(STGCC)

http://www.singaporetgcc.com/

インディアン・コミコン
Indian Comic Con

http://comicconindia.com/

ミドルイースト フィルム&コミコン
Middle East Film Comic&Con

http://www.mefilmandcomiccon.com/