米国でワンピース違法配信で1337名を訴え 日本アニメ初

 1月25日、米国の日本アニメ関連企業の大手ファニメーション(FUNimation Entertainment)は、テキサス州の裁判所にファイル共有ソフトBit Torrentのユーザー1337名を相手にする著作権侵害の訴えを起こした。ファニメーションが権利侵害されたとする作品は、日本の人気アニメ『ONE PIECE』第481話「エース救出!白ひげ最後の船長命令!」である。ファニメーションはインターネットの配信権をはじめ北米でアニメ『ONE PIECE』の幅広い権利を持つ。
 今回の訴えは、米国企業が日本アニメの違法配信行為に対する初めての法的執行(リーガルアクション)になる。ディストリビューターと呼ばれる現地の日本アニメの流通・配給企業は、これまでは違法配信に対して警告は行なってきたが、実際に裁判所に訴えることはなかった。現地では、今回の行方が注目されている。しかし、日本のアニメ企業、権利者にとっても同様に注目となるだろう。

 ファニメーションによれば、今回訴えた1337名は2011年1月9日から12日にかけてインターネットを通じて当該作品の動画ファイルをダウンロードし、Bit Torrentにて共有し、これにより同社が持つ権利を侵害した。同社は1337名に対して、違法ファイルの削除と違法行為の停止、それに15万ドルの損害賠償を請求している。また、訴えを起こすにあたり、1337名の利用日時、ホストIP、ISPを裁判所に提出した。
 「エース救出!白ひげ最後の船長命令!」のエピソードは、国内では2010年12月26日にフジテレビ系でテレビ放映された。放映後直ぐにファニメーションは同作に英語の字幕をつけ、自社サイトや動画配信サイトHuluを通じて無料で公式配信を行なっている。このため今回違法行為が行なわれた期間には、無料で本作の公式配信がされていた。
 また、訴えが1337名にも及んだのは、Bit Torrentのユーザーを対象としたためである。ファイル共有ソフトを利用したファイルダウンロードは、ファイルの共有という仕組み上、同時にアップローダーとなる。つまり、作品の視聴がそのまま違法なアップロードにつながる。

 海外では動画共有サイトやファイル共有サイトを通じた日本アニメの違法配信行為が盛んに行なわれている。この違法配信行為は一般的にファンサブと呼ばれる。ファンが作品を自ら英語に翻訳し、字幕をつけたものだ。当初はビデオテープの交換で楽しまれていたが、2000年代に入りそれがインターネット上にアップされるようになると爆発的な勢いで拡大した。それがライセンスを獲得し、DVDなどの映像パッケージ、正規配信を行なう企業の事業を圧迫しているとみられている。
 もともとファンサブは、日本で放映され米国で展開されていない作品を楽しむものとして誕生したが、現在は、米国での展開の有無に関わらず広く利用されている。今回は正規配信が行われているにもかかわらず違法配信を利用しており、ビジネスに対する影響の大きさや悪質さが訴える理由になったとみられる。

 国内では近年、海外でのこうした違法配信状況が広く知られるようになっている。しかし、法的執行にかかる費用の高さや、海外の権利侵害は海外のディストリビューターが取り締るべきとの考えから具体的な行動を取ることはなかった。一方、中小企業の多い海外のディトリビューターも、法的執行のコストの高さやファンから反発を受けることを懸念し具体的な行動はしていなかった。この結果、日本のコンテンツに対しては何をやっても訴えられることはないと考えられるようになり、違法行為がなくならない理由のひとつになっていた。
 そうしたなかで業界最大手のファニメーションが、遂に法的執行に踏み切った。もっとも、これでインターネット上に溢れる違法配信全てを相手にすることは不可能である。
 しかし、これまで日本のコンテツツに対する違法行為はノーリスクと思われていた米国で、日本アニメの違法配信に利用がリスクのある違法行為だと認識させる効果は大きい。今後他の日本アニメのディトリビューターや、同じく違法配信で急激に市場が縮小しているとされる日本マンガの出版社がこれに続くのかが注目される。