「フラクタル」北米同時配信 製作委員会停止を要請 海賊版問題で

 北米のアニメ情報サイト アニメニューズネットワーク(Anime News Network:ANN)によれば、1月13日から北米でスタートしていた日本のテレビアニメシリーズ『フラクタル』のインターネットを通じた同時配信(日本の番組放映後同日配信)が停止される。作品の製作者であるフラクタル製作委員会が、同時配信を担当するファニメーションに要請した。
 ANNの報道によれば、フラクタル製作委員会はファニメーションに対してインターネット上の『フラクタル』の海賊版、違法アップロードの一掃が出来るまで配信を延期するように要請したとする。そのうえでファニメーションのコメントとして、海賊版の削除のための行動をしているが、現状で違法行為をコントロール出来ていないと判断されたと伝える。

 『フラクタル』は日本では1月13日のフジテレビ「ノイタミナ」をスタートに各局で放映を開始している。人気作の多いノイタミナを基点とするほか、原案に批評家の東浩紀さん、注目のアニメ監督山本寛さんが手がける話題作である。
 北米での同時配信を行なうファニメーションは北米最大の日本アニメ企業である。もともと映像パッケージのビジネスを中心としてきたが、近年は配信事業にも力を入れている。『フラクタル』は同社が、配信事業の目玉として無料配信を決定した。

 近年、日本の人気アニメが国内での放映直後に海外でインターネット配信を行うケースが増えている。時間を置かない配信は、インターネット上に蔓延する違法アップロード、海賊版対策が大きな理由とされてきた。つまり、海賊版よりも早く正規版を配信することで、海賊版の存在価値を無効化する狙いがある。同時配信の開始で違法行為は減少しているともされている。しかし一方で、絶対量では依然ネット上に違法ファイルが溢れている。
 国内ではインターネット上の海賊行為はかなり抑えられていることもあり、海外での抑制を期待する日本の権利者にはこれが不十分と映った可能性が高い。また、北米での正規の配信権利を持つ現地企業が違法行為対策をすべきという日本の権利者の強いメッセージともなっている。

 北米で配信事業を行なう企業にとっては、難しい課題を突きつけられたかたちだ。多くの企業は中小企業で、法的執行を行なう体力、経済力が十分でないとみられるためである。また、正規配信の停止が、違法行為を加速させる懸念もある。
 北米における日本アニメの正規配信が、違法行為対策の切り札として本格化しておよそ2年になる。今回の『フラクタル』の配信停止は、依然勢いを失う気配が見られない海外での海賊行為の現実と問題の深さを突きつけたかたちだ。

アニメニューズネットワーク(Anime News Network:ANN)
Fractale Production Committee Halts N. American Simulcast
http://www.animenewsnetwork.com/news/2011-01-19/fractale-production-committee-halts-n-american-simulcast