2010年 アニメビジネス10大ニュース

【アニメ企業再編:00年代の総括として】

 こうしたビジネスモデルの変化のなか、関連企業はより強い企業体質を目指している。テレコムそして東京ムービー事業を抱える業界大手のアニメ制作会社トムスエンタテインメントが、12月に親会社セガサミーの完全子会社となった。同様にシンエイ動画はテレビ朝日の完全子会社に、ワオ・ワールドは親会社のワオ・コーポに吸収合併される。バンダイナムコグループでは、バンダイビジュアル、サンライズなどの映像事業ユニットとゲーム事業ユニットを統合してビジネスパワーを高めることを目指す。いずれもアニメ制作をより大きな事業のひとつとして統合していく動きである。
 一方で、マーベラスエンターテイメントはアニメ制作子会社アートランドを自社事業から切り離した。AICの株式を保有していた投資ファンドは、パチンコ機器製造のオーイズミに同社の株式を売却した。業界大手のプロダクション I.Gは老舗の竜の子プロダクションに出資し、グループ持ち株会社のIGポートの取締役にOLM社長の奥野敏聡氏を迎える。次世代を見据えたネットワークづくりが、様々なかたちで始まっている。

【新世代の映像がアニメを救う?】

 アニメ制作では、これまで関心の高かったフルCGアニメーション(3DCGアニメーション)に加えて、3D立体視へ注目が高まった。米国の大作映画『アバター』のヒットにより映画分野で3D市場が立ち上がった影響が大きい。
 2010年の国産3D映画は『劇場版 遊戯王』、『劇場版3D あたしンち』などと限られていた。しかし、春の東京国際アニメフェアでは、サンライズの『ヒピラくん』、東映の『プリキュア』、『ガイキング』、ゴンゾの『ラストエグザイル』など数多くの作品が展示され企業側の関心の高さが示されていた。そうした動きが2011年につながる。
 2011年には東映アニメーションによる『トリコ』、『ONE PIECE』の3D映画、プロダクション I.Gによる『攻殻機動隊 S.A.C. Solid State Society 3D』、さらに『豆富小僧』、『もののけ島のナキ』などの劇場映画が公開される。技術的には2Dアニメの3D立体視化を進めるキューテックとグラフィニカが注目される。

【正念場の海外ビジネス】

 海外ビジネスはもう何年も前から厳しい状態が続いてきたが、2010年には特にアニメファン向けのビジネスは縮小しきってしまい、現在は低位安定状態ともいえる状況だ。こうした傾向は欧米地域で顕著だ。米国最大手の日本アニメ会社ファニメーションが、親会社から売却方針を示されたのもこうした市場成長の不足が理由とみられる。
 こうした中で新たな挑戦も始まっている。電通は米国にアニメ・エンタテイメント事業を中心とする電通エンタテイメントUSAを設立し、アニメファンでなく大衆層に向けたアニメビジネス開拓を目指す。セガサミーグループの『爆丸』、ディーライツ・タカラトミーの『メタルファイトベイブレード』も同様だ。実際に米国では『ドラゴンボール改』、『NARUTO 疾風伝』など、マス向けの日本アニメの放送はむしろ増加傾向にある。海外の大衆市場の喰いこみには、現地でのプロモーションパワー、流通確保などが必要となる。そのための手段として国際共同製作がますます注目されている。
 一方で、アニプレックスUSAが2010年に北米で小規模なDVD発売事業をスタートし、日系企業NISアメリカも新たに北米アニメDVD市場に参入した。小さなアニメファン市場を前提に、新たにアニメファンを育てるという長期的な視点も生まれている。

 明るいニュースは、商業アニメーションとはやや異なるが、2010年に初めて修了生を送り出した東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻の躍進だろう。同校出身クリエイターの作品が国内外のア二メーションフェスティバル・コンテストを席巻し、ザグレブとオタワの2つのアニメーション映画祭ではベストアニメーション校として表彰を受けた。
 東京藝大の活躍は日本のクリエイターには世界でわたり合える力があり、海外に出て行く仕組みさえあればそれが発揮されることを示していると言えないだろうか。