2010年 アニメビジネス10大ニュース

2010年 アニメビジネス10大ニュース by アニメ!アニメ! 

 1. 東京都青少年健全育成条例改正案可決・アニメフェア分裂へ 
 2. 今 敏監督、飯田馬之介監督ら アニメ界訃報相次ぐ
 3.  日本アニメーター・演出協会(JAniCA)運営で混乱
 4. 3D立体視アニメ広がる
 5. ONE PIECEが大ブームに
 6. DVD無料の『ブラック★ロックシューター』が話題に
 7. 『借りぐらしのアリエッティ』 新人監督で映画興収過去最高
 8. グループタック 準自己破産 
 9. 東京藝術大学大学院アニメーション専攻 国内外の映画祭で躍進
 10. アニメ・声優 音楽ブーム盛り上がる

【アニメ:コンテンツ産業政策 転換点に】

 2010年は、行政とアニメーション産業の関係を考えさせられることが多い1年間だった。2010年最大のニュースが東京都議会での青少年健全育成条例改正案可決であることは間違いないだろう。改正案の問題は曖昧な規定が実質的な検閲を可能にし、表現の自由を妨げる可能性があることだ。また、アニメ業界から見れば、同じ映像表現であるにも関わらず改正案では実写映像が除外されマンガとアニメーションに限定されていることも納得が行かないだろう。こうした内容が出版・アニメ関係者、団体、ファンの反発を招き、東京都に対する抗議運動へつながった。
 2000年代初頭から東京都はアニメ産業を地場産業と位置づけ、東京国際アニメフェアの支援などを行なってきた。アニメ産業へ理解があると思われてきた。しかし、東京都の考える産業振興と業界の求める産業振興にはずれが生じているようだ。
 東京都へ反発するマンガ出版10社からなるコミック10社会は、東京都知事が実行委員長を務める東京国際アニメフェアのボイコットを表明した。さらにアニメ業界8社が東京国際アニメフェアに替わるアニメイベントの開催を発表、アニメイベントが分裂することになった。東京都とアニメ業界・マンガ業界の関係に大きな隙間風が吹いている。

 行政と業界の齟齬は、東京都だけではない。2010年に起きた日本アニメーター・演出協会(JAniCA)の理事辞任や運営のあり方を巡る混乱は、文化庁からの委託事業「若手アニメーター等人材育成事業」が発端となっている。さらに地場産業としてアニメを支援してきた東京・杉並区は区政の事業仕分けにより、アニメ関連事業の大幅縮小方針を決めた。日本動画協会に運営を委託する杉並アニメーションミュージアムも存亡の危機にあると伝えられている。
 一方で、経済産業省はクールジャパン室を新たに設け、日本の文化的価値観に基づいた産業振興を掲げる。しかし、クールジャパンにはファッションや食、デザイン、伝統工芸が加わり、2000年代初頭よりコンテンツ産業として力を入れてきたアニメ、マンガ、ゲームに対する支援は相対的に後退したかたちだ。国から地方自治体まで、広い範囲で行政と産業の連携のあり方が問われることの多い1年だった。

【訃報相次いだアニメ界】

 哀しいニュースが相次いだのも、2010年の特徴だ。亡くなられた全てのかたの名前を挙げることは出来ないが、46歳で亡くなった今 敏監督、49歳で亡くなった飯田馬之介監督の逝去は特に多くの人に驚きを与えた。今 敏監督は海外でも知られたこともあり、各国の新聞、雑誌、ウェブで逝去が報じられた。米国のタイムズ誌は2010年の100人のひとりにその名前を挙げた。
 企業経営者ではグループタックの田代敦巳氏、日本アニメーションの本橋浩一氏、サンライズ創業者のひとり山浦栄二氏、いずれも日本のアニメ業界を支えてきた人物だ。そして『宇宙戦艦ヤマト』シリーズで日本のアニメに多大な影響を与えたプロデューサー西崎義展氏がなくなったことは、ひとつの時代の終わりを感じさせる。
 人形アニメーションの巨匠 川本喜八郎氏、脚本家の首藤剛志氏、声優の野沢那智氏、田の中勇氏ら、その分野を代表する多くのかたが世を去った。

【アニメビジネスの行方】

 国内のアニメ産業は2000年代半ばまで急成長し、その後2007年頃から停滞期に入っている。しかし、産業規模の縮小以上にアニメ企業を困惑させているのは、アニメビジネスを取り巻く環境変化の激しさかもしれない。DVDなどのビデオパッケージが落ち込み、テレビアニメ制作が低迷する一方で、キャラクタービジネス、アニメ関連音楽、劇場興行は堅調だ。
 映画では興収およそ48億円に達した『劇場版 ONE PIECE -FILM- STRONG WORLD』、新人監督映画としては史上最高の興行92億円となった『借りぐらしのアリエッティ』が話題を呼んだ。『プリキュア』シリーズ、『劇場版銀魂/新訳紅桜篇』、『涼宮ハルヒの消失』など、予想を超えるヒット作も少なくなかった。
 小規模公開をするマニア向け作品の増加が話題となった。また、イベント上映の『機動戦士ガンダムUC』、劇場6部作『ブレイクブレイド』など、劇場を利用した新たなビジネス形態が模索された。

 『ONE PIECE』の好調は映画だけでない。原作単行本は勿論、DVD・BD、キャラクター商品からイベントまで様々なシーンで大活躍をし、関連企業に多くの利益をもたらした。アニメを中心としたキャラクタービジネスが依然大きな可能性を持っていることを示したかたちだ。
 そうした関連ビジネスの開拓では、DVD60万枚以上を無料で配布して周辺ビジネスで収益を得る『ブラック★ロックシューター』が話題を呼んだ。2010年に注目されたフリーミアムと呼ばれる商品を無料提供するビジネスモデルからも影響を受けたものである。

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