絶版マンガを電子書籍で復活させるJコミ Googleと提携

 マンガ家赤松健さんが代表取締役となり、絶版マンガの電子化、広告付き無料配付を進める株式会社Jコミが、新たなプロジェクトを明らかにした。無料配信のうちコミックビューワーを利用する部分について、Googleと協力した新たなシステムも開発するというものだ。
Jコミは現在PDFによるダウンロード型配信とコミックビューワーを利用したストリーミング型配信をビジネスモデルとしている。いずれも作品閲覧は無料、作品に付加された広告での収益を目指す。
 このうちJコミがGoogleと提携するのはコミックビューワーの部分だ。Googleはコミックビューワーの中に広告を設け、個々のユーザーに最適化した広告を配信する。例えば海外の読者がアクセスした場合は、その国の企業が出るなど広告主とユーザー双方の利益になるという。

 さらにミックビューワーは、PDF版と異なったコミュニティ機能を設ける。これが作品の魅力と価値を高めることになりそうだ。新しいコミックビューワーでは、作品のページごとにコメントを書き込むことが可能になるからだ。コメント機能を使うことで、ボランティアによる翻訳作業、セリフ検索、用語解説といったファン同士の交流を促進する。
 このほかにも様々な強化案を検討中としている。作品と同時に作品を巡るコミュニティを活性化させ、それをGoogleの広告を通じて収益化に結びつける狙いだ。
 これは2010年に注目を浴びたフリービジネスのモデルに近いかもしれない。コンテンツ自体は無料とし、その周辺事業で収入化を図るものだ。今後、マンガのデジタル化とビジネスモデルの実験として注目を浴びそうだ。

 Jコミは2010年11月26日に、絶版マンガの新しいビジネスモデルとしてスタートした。『魔法先生ネギま!』や『ラブひな』などの代表作のある赤松健さんが代表取締役となり、マンガ家自身がマンガを配信する。さらに無料配信作品第1弾が国内外で人気の高い『ラブひな』であることが話題を呼んだ。
 さらに大きな特徴は、配信作品を絶版マンガに限定したことだ。通常の出版、書店販売では収益がでなくなった作品をデジタル化し、作家、読者、出版社全てが利益を得るWin-Winの関係を築く。デジタル化、無料配信で障害となり易い出版社や書店との競合を避け、円滑に事業を進める。
 今回はそれにGoogleが加わる。しかし、Google が広告仲介の手数料を取るにしても、Jコミにとっては、広告営業と事務の手間が大幅に軽減出来ることは魅力が大きい。またGoogleにとっては、広告収入のウィンドウが広がるだけでなく、同社が目指す電子書籍のネット閲覧と広告を結びつけるビジネスの実証実験の場や足掛かりとなる。急激な変化を続ける電子書籍の世界でマンガ作家自身とGoogleが直接結びついたことは、大きな事件だ。

Jコミ http://www.j-comi.jp/