日本版の3Dバーチャルコミュニティ開発を目指す株式会社ココアは第三者割当てを行い、新たに伊藤忠商事、フジテレビジョン、みずほキャピタル、クオラス、イオン、スクウェア・エニックスが株主に加わったことを発表した。
ココアは「セカンドライフ」などに代表される3Dバーチャルコミュニティの日本版「meet-me」の構築を目指して、今年6月にトランスコスモス、フロム・ソフトウェア、産業経済新聞社が合計1億円を出資して設立した。
「meet-me」は、カーナービの技術を生かしたデジタル地図でネット上に仮想の東京を再現するとしている。身近な空間を再現することで、完全な虚構である「セカンドライフ」などと差別化を図る。
本年12月にアルファ版が限定公開され、今後順次機能を拡張しながら、2008年春に正式版の一般公開を目指す。
こうした本格的なオープンを前にしたあらたな資金調達と株主は、ココアの事業に大きな期待が持たれていることを示している。特に新たな株主に大手小売流通のイオンや、放送事業のフジテレビ、コンテンツ投資に積極的な伊藤忠などが含まれていることは今後の事業の方向性を示しているだろう。
さらに既にオンラインゲームで大きな実績を持ち、ゲームソフトを中心に人気キャラクターを数多く抱えるスクウェア・エニックスの参加も注目される。
ココアは今年6月の会社設立発表の際に、アニメ製作のぴえろとプロダクション I.Gの2社とコンテンツ提供のパートナーシップを結んだことでも話題を呼んでいる。その際にココアは、両社が開発したキャラクターやライセンスを保有するキャラクターを「meet-me」を登場させることで、魅力的な世界観を構築し、キャラクターを通じてリアルな世界と仮想世界を連動させるとしていた。
「meet-me」が女性から子供までの参加を目指すとしても、これまでアニメやゲーム、マンガのファンがこうしたデジタル空間のトレンドを引っ張るケースは多かった。プロジェクトの成功には、こうしたコアな層へのアプローチが重要になるから、ぴえろやプロダクション I.G、スクウェア・エニックスの大きな役割が期待される。
海外発の3Dバーチャルコミュニティは、日本ではやや失速気味である。しかし、現実空間とのシンクロ、日本が得意とするキャラクター開発との連動など、日本ならではのアイディアでこうしたプロジェクトが成功する可能性は小さくない。