紀伊國屋が電子書籍配信事業に進出 PC向けでスタート

 国内大手書店チェーンの紀伊國屋書店が、電子書籍の配信に進出した。この事業は「紀伊國屋書店BookWebPlus」と名付けられ、12月10日、最初の一歩となるPC向け配信をスタートさせた。同社は配信事業スタートについて、これまでのネット書店での実績を発展させ、デジタルネットワーク時代に対応し、書籍の形態やデバイスの種類に制限されな読書スタイルの提供を目指すためと説明する。
 サービス開始当初のタイトル数は1100タイトル、光文社、講談社、岩波書店、河出書房新社、扶桑社などの作品が並ぶ。配信タイトルは『カラマーゾフの兄弟 全5巻』といった古典から、演出家 杉田成道さんのエッセイ『願わくは、鳩のごとくに(紀伊國屋書店特別版)』などと幅広い。

 しかし、ジャンルが広い範囲にまたがっていることもあり、スタート段階ではあるがタイトル数が少なく、やや物足らない。また、現段階ではマンガはライナップされておらず、ジャンル一覧の「コミック」には、マンガ原作小説の「金田一少年の事件簿」のシリーズ9冊が並んでいるだけである。
 また、PC向け配信は、従来からあるインターネット書店のコーナーとなっている。今後は専用プラットフォーム構築、そしてコンテンツの充実が事業拡大の鍵となる。
 目先の大きな展開は、スマートフォン向けのサービス提供となりそうだ。紀伊國屋書店は、近日中にiPhone/iPad向けサービスを開始する。さらにAndoroid向けの技術開発も進めている。むしろ、ビジネスの主戦場は、そちらになりそうだ。

 電子書籍の普及と伴に、今後、書店経営は出版ビジネスの中で守勢に立たされる場面が増えそうだ。今回の紀伊國屋書店の電子書籍配信進出は、逆に自ら電子書籍の販売を始めることでこれを切り抜けようとするものだ。競争は激しいが、長年、店頭を通して築いてきた顧客マーケティングのノウハウは強みになる。
 北米では最大の書籍チェーン バーンズ&ノーブル(Barnes & Noble)が電子書籍の販売市場に進出するだけでなく、自ら電子ブックリーダー「NOOK」を開発、発売する。電子書籍の販売だけでなく、コンテンツプラットフォームも目指す。紀伊國屋書店がそうした市場の主要プレイヤーになれるのか?今後も挑戦が続く。

紀伊國屋書店BookWebPlus http://bookwebplus.jp