角川書店 アニメフェア出展取り止め 都の姿勢に疑問 

 国内大手出版社でアニメ関連事業も手掛ける角川書店は、2011年3月に開催される東京国際アニメフェア2011の出展を取り止める方向であることが明らかになった。12月7日に同社の代表取締役社長である井上伸一郎氏が自身のtwitterで表明した。
 twitterで同氏は、「さてこの度、角川書店は来年の東京アニメフェアへの出展を取りやめることにいたしました。マンガ家やアニメ関係者に対しての、都の姿勢に納得がいかないところがありまして」と述べている。取り止めの理由が、東京都議会が審議を進める東京都青少年健全育成条例改正案に対する反対の表明であることを示唆している。

 都の青少年健全育成条例改正案は、マンガやアニメを対象に性表現、暴力表現、もしくは青少年の成長を阻害する表現のある作品の販売を規制することを目的したものである。規制の範囲や方法が曖昧なことから、表現の自由を規制するとマンガ家やその関連団体、出版団体、作家団体などから反対の声があがっていた。今回は出版社から改正案に疑問を呈したかたちだ。
 井上伸一郎氏はアニメ雑誌の編集長を務めた経験があり、若者向けの出版で角川書店の経営で実績をあげている。また角川書店はマンガ出版やアニメ製作も手がける。

 一方、今回出展を取り止めた東京国際アニメフェアは、2002年に東京都主導でスタートしたアニメのビジネス見本市・イベントである。東京都にアニメ関連企業が多いことから地場産業の振興・海外発信を目指している。2007年に日本動画協会に移管されるまで、実行委員会の事務局は東京都に置かれていた。
 民間の自立を促すために東京都の負担金は年々減額されている。それでも2011年開催予算およそ4億円のうち1億2500万円を都が支出する。また、東京国際アニメフェア実行委員会の実行委員長は石原慎太郎都知事が務めている。

 角川書店の出展取り止めは東京都に対する圧力にはなるが、東京国際アニメフェア実行委員会を実質的に運営する日本動画協会には痛手だ。角川書店は2010年のアニメフェアに、角川グループとして角川映画、キャラホビと伴に8小間(これとは別にアスキー・メディアワークスが2小間)の中規模な出展をしている。これらの取り止めは出展料収入の減少につながる。すでに2009年より業界の低迷から大手企業の出展縮小、取り止めが出ている。東京都からの助成金が減るなかで、さらなる出展減少は避けたいところだ。
 また、アニメフェアは2011年に10周年記念を迎えるが、そのなかで人気企業の姿がなくなるという心理的な影響もある。今後こうした動きがさらに他の企業に広がるのかどうか気になるところだ。

訂正:2010年12月9日17時55分
2011年東京国際アニメフェアに対する東京都の支出を1億5000万円と掲載しましたが、正しくは1億2500万円です。訂正をさせていただきました。

東京国際アニメフェア2011 公式サイト http://www.tokyoanime.jp/