制作中止のアニメ絵コンテを使用 ビヨンセCDに提訴

 共同通信などの報道によれば、ソニーミュージックジャパンは同社が発売した米国人気女性歌手ビヨンセさんのCDアルバムジャケットにアニメ絵コンテを無断使用したとしてアニメ監督の長濱博史さんとエンタテイメント企業マーベラスエンターテイメントから販売差し止めと損害賠償を求められている。長濱氏とマーベラスは東京地方裁判所に提訴している。
 報道によれば、アニメの絵コンテは、当初ビヨンセさんの依頼により、コンサートツアー用の映像のために制作した。その後、映像の発注は白紙撤回された。しかし2008年に発売されたCDアルバム「I AM…SASHA FIERCE」のジャケットとCD歌詞カードに絵コンテが無断で使用されているとして、長濱さんと著作権譲渡を受けていたマーベラスが提訴した。

 ビヨンセさんは、米国の女性アーティストで、世界的に知られている。CD売上高は、全世界で3000万枚を超えている。絵コンテを無断使用したとされる「I AM…SASHA FIERCE」も、全世界で600万枚を売り上げた大ヒット作である。
 一方、長濱博史さんはテレビアニメ『蟲師』の監督などで知られるアニメ演出家である。同作は東京アニメアワード・テレビ部門優秀作品賞を受賞するなど高い評価を受けている。長濱さんが著作権を譲渡したとされるマーベラスエンターテイメントは、この『蟲師』の制作を行なったアニメスタジオ アートランドの親会社にあたる。長濱さんと協力して映像企画を進めていたとみられる。

 今回の無断使用に関しては、具体的な素材や使用状況について明らかになっていない。このため今後の行方は不透明だ。しかし、無断使用と訴えられたソニーミュージックジャパンは自身が著作権ビジネスに関わる企業だけに、著作権者から提訴されていることが明らかになったことはネガティブな材料だ。
 もともとアニメ関連の制作素材の権利の所在は明確にされないことが多い。完成した作品の制作素材の保管、管理も厳重なものではない。未完成作品であれば、状況はさらに緩いとみられる。今回の提訴は、こうした点からも今後の展開が気になる出来事と言えそうだ。