2011年に向け コンテンツ強化専門調査会第1回開催

 11月12日、東京・千代区永田町で、知的財産戦略本部 コンテンツ強化専門調査会(調査会長:中村伊知哉)の第1回会合が開かれた。コンテンツ強化専門委員会は知的財産戦略本部の下部委員会で、映画やアニメ、マンガ、音楽、出版などのコンテンツ産業の強化策を討議する。
 2009年までのコンテンツ・日本ブランド専門調査会を発展的に引き継ぐかたちで、2010年2月からスタートしている。これまでの7回の会合では、知的財産戦略本部のまとめた知的財産推進計画2010のコンテンツ産業に関わる部分で提言を行なった。今回の新たに第1回とされるのは、会合は来年初夏にまとめられる知的財産推進計画2011に向けた新たなタームとなるからだ。

 新たな計画に向けた最初の討議ということもあり、12日の会合は知的財産推進計画2010のレビューに重点が置かれていた。知的財産推進計画2010の現時点での達成具合を確認し、次年度以降の計画につなげるためである。
 ここで大きく採りあげられた課題は主に3つである。ひとつは海外展開、そして人事育成、またデジタル化・ネットワーク化である。しかし、こうした大枠をもとに個別に挙げられた取り組みの進捗状況はやや分かり難にくいものが多かった。計画のとりまとめから半年ということもあり、事業成果を問うには時間不足だったようだ。
 そうしたなかで取り組みの項目の最初に挙げられている所謂海外コンテンツファンドの在り方に委員の質問が集中した。海外コンテンツファンドはファイナンスの面からコンテンツ産業の支援を行なうものだが、現時点では具体的なかたちは定まっていないようだ。ファンドの規模については未定とし、企画段階の作品への投資といった方向性が示さりなどにとどまった。

 一方で、大きく進展しているものもある。模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)の大筋合意だ。ACTAは国境を越えた模倣品・海賊版の防止を多国間で取り組むことを目指すものである。その締結はコンテンツ産業の海外展開の阻害要因としてたびたび指摘されてきたインターネット上の違法対策に大きな力を発揮することが期待される。
 関係業界からの期待も大きいだけに、その進展は大きな成果である。今後は、現在は協議への参加国の少ないアジア諸国に加入を働きかけるという。

 人材育成については、大学教育について興味深い指摘があった。委員である角川歴彦氏が、コンテンツ関連教育が大学で行なわれるようになったのは近年の国の施策の成果としつつも、その大学のコンテンツ教育が理論や研究に傾きがち、実学が不足しているのではと発言した。杉山知之氏からも、コンテンツ関連人材の施策が様々に行なわれているが、その結果に対する評価が弱いのではないかといった指摘がされた。2000年代になり継続的に取り組んできたコンテンツ分野での人材育成だけに今後の課題となりそうだ。
 人材教育については、アニメ関連でも個別の取り組みがある。CG・3D関連の制作工程が推進計画に挙がっていたが、現時点の進捗状況では引き続き検討中とされている。

 2011年に向けたコンテンツ強化専門調査会第1回は、全体的に見てストレートな意見も少なくなく、討議の場として機能している印象を受けた。一方、別所哲也氏がアジアにおける各国の映画産業の取り組みを紹介したように、委員からは現状の日本のコンテンツ産業の状況に対する厳しい認識が相次いだ。こうした厳しい認識が、多くの発言にもつながっていたようだ。
 コンテンツ強化専門調査会は知的財産戦略本部に並行して、今後、月1回から2回の会合を重ね、来年4月に報告を取りまとめる。報告は知的財産戦略本部を通じて知的財産推進計画2011として、来年5月から6月頃に政府に提言される見込みだ。

知的財産戦略本部 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/index.html