幻冬舎 経営者による公開買付けで非上場目指す

 幻冬舎は、10月29日にTKホールディングスによる同社への公開買付けが行われることを明らかにした。TKホールディングスは同社の代表取締役社長見城徹氏が100%株式を持つ。公開買付けは経営者自身によるマネジメント・バイアウト(MBO)となる。
 見城氏は現在、既に発行済株式の23.05%を保有している。TKホールディングスを通じて残りの株式の全ての買付けを目指す。公開買付け後は、幻冬舎は上場廃止となる見込みだ。幻冬舎の取締役会は、10月29日に開催された取締役会でTKホールディングスによる公開買付けに賛同し、株主にこれに応募することを勧める決議を行った。

 幻冬舎は見城徹氏が1993年に設立、年商130億円余り、個性的な企画を得意とする中堅出版社である。一般書籍のほか、教育書籍や会社案内・事業報告書の作成も行う。マンガ出版も子会社幻冬舎コミックスを中心に手掛ける。平成22年3月期は300点あまりを刊行、売上高は20億6900万円だった。近年のヒット作には『ヘタリアAxis Powers』がある。
 見城氏はMBOの目的を、中長期的な視点から同社の企業価値向上を実現するためとする。出版事業が大きな変革の波にあるなかで、短期的な業績結果ではなく、中長期的な施策を取ることを目指す。

 TKホールディングスは2010年11月1日から12月14日まで、1株22万円で株式買付け募集をする。幻冬舎の10月29日の終値は14万6000円、それにおよそ50%のプレミアを付けた価格だ。買付け金額は見城氏の持ち株も含めておよそ80億円となる。
 大幅なプレミアにより一見は割高な買収にみえるが、10月29日の終値に対して同社の純資産倍率は0.54倍、時価総額が会社の総資産のおよそ半分である。PERは6倍以下、配当利回り3%以上、ROE8%弱と安値圏に放置されている。一方で、業績は10月19日に平成23年3月期決算の大幅な上方修正を行ったばかりだ。50%のプレミアをつけても、なお割安との判断があったとみられる。むしろ、業績を反映しない株式市場に、経営者が見切りをつけたと言えるかもしれない。
 出版に限らず、映像、アニメ、ゲームなどのコンテンツ関連企業の株式は、現在安値圏に置かれたままのケースが多い。ひとつは景気が不透明ななかで、リスクの変動が大きく、業績の先行きが読みにくいコンテンツ企業が投資対象として敬遠されているためだ。さらにコンテンツ関連企業は企業規模が小さく、株式市場全体の売買低迷の結果、市場取引が細り、流動性が低下、株価も下落する側面もある。
 既にコンテンツ関連企業の新規株式上場は2000年代半ば以降急減している。今回の幻冬舎の決断は、他のコンテンツ関連上場企業の経営方針にも示唆を与えるかもしれない。

幻冬舎 http://www.gentosha.co.jp/