パラマウント「アイアンマン3」など ディズニーに事業譲渡

 米国の大手映画会社パラマウント・ピクチャーズは、2011年に公開を予定していたマーベル・スタジオ製作の劇場映画2作品『アイアンマン3』と『The Avengers』の全世界のマーケティングプロモーション、配給事業をウォルト・ディズニー・スタジオに譲渡する。10月18日にパラマウント・ピクチャーズ、ウォルト・ディズニー・スタジオ、マーベル・スタジオの3社が発表した。事業譲渡に伴いウォルト・ディズニーは、パラマウント側に1億1500万ドルを支払う。
 両作品はマーベル・エンタテイメントが権利保有するコミックスを原作に、マーベル・スタジオが映画製作を進めていた。事業買収によりディズニーは、『アイアンマン3』と『The Avengers』で一体的なクロスメディア展開が可能となる。
 一方でパラマウントは、これまでに公開された『アイアンマン』と『アイアンマン2』の世界配給権は保有し続ける。さらにマーベルコミックスを原作にし、2011年に公開を予定する『Thor』と『キャプテンアメリカ』についても、従来の計画どおり世界展開を手がける。

 ディズニーは今回の決定について、事業譲渡により両作品の世界規模でのマルチ展開が出来る様になったと喜びを示している。
 パラマウントはディズニーとマーベルの今後の成功を望むとする一方で、自社とマーベル・スタジオの関係は、パートナー事業を始めた5年前とは大きく異なる様になってしまったと環境の変化が今回の決定の理由と説明をした。

 今回の合意は、大ヒットが期待される大作映画の配給とマーケティングの移譲という異例のものである。これは2009年にマーベル・エンタテインメントが、ウォルト・ディズニーに完全買収されたことが理由とみられる。
 コミックス出版社からスタートしたマーベル・エンタテインメントは、『スパイダーマン』や『X-MEN』、『超人ハルク』など数多くのキャラクターを保有する。これらのキャラクターから多くの映画が製作され、大ヒット作が数多く生れた。
 2009年12月にディズニーに買収されるまでマーベルは、独立企業として大手映画会社とほぼ等しい距離で事業を行ってきた。このためパラマウントのほかにもソニー・ピクチャーズと『スパイダーマン』シリーズ、FOXと『X-MEN』シリーズなどの映画ビジネスを行っている。
 しかし、もともとディズニーのマーベル買収の狙いは、こうしたキャラクター事業の囲い込みとされていた。今回の決定は規定路線とも言える。『Thor』と『キャプテンアメリカ』の事業がパラマウントに残ったのは、公開が2011年と迫っており配給会社の変更が難しいと判断したためと見られる。

 今回、ディズニーのキャラクター囲い込み戦略がはっきりしたことで、さらにマーベル関連事業を自社に集中させて来るとみられる。今後はソニー・ピクチャーズが手掛けてきた『スパイダーマン』シリーズなどの行方が気になるところだ。
 映画だけでなく、テレビアニメーションシリーズの動向も注目される。マーベルはディズニーグループのチャンネルのほか、ライバル放送局のニコロデオンやカートゥーンネゥトワークにも自社キャラクターをアニメーション番組のために提供してきた。他社向けの作品は、ここでも次第に縮小して行くと見られる。 
 これまで多数のマーベルキャラクター作品を放映して来たニコロデオンは、将来的な番組不足対策として人気キャラクターの獲得や男児向けの新番組開発に動いている。そうしたなかで有力チャンネル関心の一部は、日本の男児向けのアニメにも向かっているとされる。2011年以降、思わぬところで日本アニメの放送が始まる可能性もある。

ウォルト・ディズニー・スタジオ http://studioservices.go.com/disneystudios/index.html
マーベル・エンタテインメント http://marvel.com/
パラマウント・ピクチャーズ http://www.paramount.com/news