海賊版対策に国際協力の道開く ACTA大筋合意

 10月3日、経済産業省は2007年以降北米、EU、韓国、シンガポールなどの各国と協議を進めてきた模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)が大筋合意に達したことを明らかにした。実質的な問題はほとんど解決され、今後は最終合意に向けた詳細を詰める。
 ACTAはグローバル規模での知的財産権の侵害、そして模倣品・海賊版の広がりとそれによる経済成長阻害に対し、国際協調により取り組むことを目指す。具体的なプランには、民事、刑事などにおける国境を越えた知的財産権執行の規定やACTA加盟国間の執行を支援するメカニズムの確立などが含まれる。

 日本政府は2000年代に入り、国の経済政策の中に知的財産権に関わる産業の振興、発展を強く打ち出すようになっている。しかし、産業政策を進めるなかで、海外でのブランドの模倣や各種製品の海賊版製造・販売、その流通が産業発展の阻害要因になっていることが明らかになってきた。
 2005年以降は模倣品・海賊版拡散防止を政策の盛り込み、ACTAの推進にも積極的に取り組んできた。今回の交渉には、米国、カナダ、メキシコ、ECとEUの欧米地域のほか、スイス、モロッコ、オーストラリアとニュージーランド、そしてアジアからは日本のほか韓国とシンガポールが参加している。ACTAが最終合意に至れば、主に先進諸国が中心とはなるが模倣品・海賊版拡散防止の進展にも貢献することになる。

 また、ACTAの協議の中では、インターネット上に流通する音楽、動画、映像などの違法なコンテンツ配信問題も大きく扱われている。ACTA加盟国間での知的財産権執行規定や執行支援メカニズムが確率されれば、国内のアニメやマンガ、ゲーム、映画などのコンテンツ産業にとっても朗報だ。
 これまでこうした業界では、海外での大量の違法コンテンツ流通を確認しているものの、国境に阻まれてなかなか法的執行が出来なかったからだ。実際にどの程度の実効力があるかは、今後の最終合意の内容次第だがコンテンツ産業にとっては悪いニュースではない。

 一方で、問題がないわけではない。ACTAの動きについては、各国のコンテンツ産業関連のメディアでも広く取り上げられている。しかし、そのなかには関連産業には朗報としつつも、その実効性に疑問を投げかける声もあるからだ。
 それは現在、模倣品、海賊版が多く作られている中国をはじめアジアの国々などの多くが協議に参加していないためである。ACTAが国境を超えた活動を掲げる中で、未参加国の問題は大きい。すでに経済産業省は加入拡大に向けた諸外国への働き掛けを掲げているが、今後、未参加国をどのようにACTAに巻き込んで行くかが重要な課題になるだろう。

経済産業省 http://www.meti.go.jp/