「第8回 新千歳空港国際アニメーション映画祭」コンペティション受賞14作品発表 VR作品が日本グランプリを初受賞

「第8回 新千歳空港国際アニメーション映画祭」(2021年11月5日~11月8日開催)のコンペティション受賞14作品が発表。VRアニメーション作品が日本グランプリを初受賞した。

「第8回 新千歳空港国際アニメーション映画祭」は、11月5日より空港現地とオンラインのハイブリット形式で開催されており、11月8日には本来のコンペティション授賞式を新千歳空港ポルトムホールにて実施。
94の国と地域から応募された2,243作品から、一次審査によって92作品がコンペティションに選出され、長編・短編アニメーションのグランプリを含む14の受賞作品が決定となった。

コンペティション短編部門グランプリは、ベルギーの作家ニコラス・ケペンズの『Easter Eggs』が受賞。国際審査員を務めた山村浩二「選び抜いた色の構成で見せる画面は、絵としての美しさを保ちつつ、それが描かれたものであることを観客に意識させることで、批評的客観性を持って、映画と対峙させる力を持っている。情けない日常、取り立ててドラマを持たないようなささやかな出来事を、大変洗練された上品な演出とビジュアルによって、映画的な幻想のレベルに押し上げた」と評している。

受賞について、ケペンズはビデオメッセージで、自身の作品づくりに日本映画からの影響を大きく受けていることに触れ「新千歳空港国際アニメーション映画祭は本当に素晴らしい映画祭と聞いているので、次はぜひ直接伺いたい」とコメントした。

日本グランプリには、日本在住のジョナサン・ハガードの『Replacements』が受賞。同作は360度映像で構成させるVR作品であり、本映画祭でVR作品がグランプリを受賞するのは初だ。
これまで作品応募にGIF・VR作品の枠を設けてきた本映画祭ならではの授賞となり、新しいメディアによる新しい物語の語り方として評価された。

ジョナサンはこの作品を制作するにあたり「一時代を作品で残したかった。最初はVRで作るつもりはなかったが、一つの家族だけでなく風景や社会の移り変わりを描くにあたって、その全てが大切であり、作品に中心となるものを必要としない全天球のVRを使った。また、VRは自らがアクターとなって、時間旅行をすることもできる」とコメント。
国際審査員のシュ・ゲンドウは「観客の位置は変わらないが、周りの環境は徐々に変化し、最終的に全部置き換えられる。作者は時代ごとの特徴をよく調べ、建物から小道具まで丁寧に描き、時代の変化や人々への影響をさりげなく示した。背景の変化によって、ここに住む家族や隣人たちは何を経験したのか、この国が何を経験したのか、常に連想させる。写実的なタッチで淡々とした日常、過去への郷愁、そして時代と対抗できない小さな個人であることの無力さを表した」と述べている。

コンペティション長編部門グランプリを受賞したのは、フランス・イタリアの作家ロレンツォ・マトッティの『シチリアを征服したクマ王国の物語』。
“面白くて、悲しい”クマ王国の物語や、クマから人間に向けられるまなざしを通じて、多様な文化の中で他者を受け入れることの大切さを伝える本作について、審査員を務めたアニメーション作家の水江未来は「私たちは一つの大きな物語の中を生きているわけではなく、一人一人に物語が独立していて、それらが交差して響き合って存在しているのだと思います。しかし、私たちが人類の歴史を振り返るとき、国ごとに集約された大きな一つの物語になってしまいます。私たちは、その集約された大きな物語を丁寧にほどきながら、そこに存在する物語の一本一本の糸を見出していくことで、多角的に歴史に向き合い、そして、初めて他者を理解することが出来るのだと思います」と評した。

さらに、審査員特別賞には、山村浩二による初の長編作品『幾多の北』が選出。
審査員の細川麻沙美は「“長編”の重要な要素であるはずのストーリー性からの逸脱という挑戦が、その新しいあり方を提示している」とコメントした。

「第8回 新千歳空港国際アニメーション映画祭」は、11月8日まで空港現地とオンラインにて開催。