2010年サンディエゴ・コミコン 企業ブース(ゲーム会社編)

 サンディエゴ・コミコン(Comic-Con International)の近年の特徴は、コミックス(マンガ)イベントから総合エンタテインメントイベントへの変身である。2010年はそうした傾向がさらに顕著になり、映画やテレビ関連の新作発表が相次ぎ、有名俳優も数多く会場に姿をみせた。
 そうした最近の変化をさらに印象づけるのは、ゲーム会社のイベント進出である。テレビや映画、玩具よりさらにコミックスとは距離があるように見えるゲームだが、クロスメディアの時代には多くのゲーム企業が違和感を持たれることなくコミコンにその居場所を見つけている。
 こうしたゲーム業界の積極的な出展については、米国のゲーム業界のイベント事情も影響している。米国のゲーム関係の大型イベントではE3がよく知られているが、実はE3は業界関係者のみしか入場出来ないビジネスイベントである。同様に大型イベントと知られるGDC(ゲーム開発者会議)も、専門家のためのイベントである。コンシュマー向けに自社を直接アピールする場は意外に少なく、そうした企業側のニーズをコミコンが埋めているというわけだ。

 

 実際に展示場には、北米ゲーム業界の1位、2位を争うふたつの企業エレクトニック・アーツ(EA)とアクティビジョンの両社が揃ってブース出展をしていた。さらにTHQも含めて現地の大型企業が出揃っている。ただしブースの形態はいずれも最新ゲームソフトのパネルボードに、ゲームの試遊台といったありきたりのものだ。ブースの規模も小さくはないが、北米1位、2位の企業と考えるとやや物足りなさを感じる。
 現段階では、大型イベントであるコミコンの感触を確かめている雰囲気だ。将来的に参加規模を拡大するのかなど、今後の展開が気になる。

 そんな両社に較べて、意外なほど存在感をあったのは日本のゲーム企業である。もともと日本のゲームソフトにキャラクターを中心としたゲームが多いのも理由かもしれない。キャラクター中心のアメコミと何かしら似たものがあるためだ。
 なかでも存在感が強かったのは、スクウェア・エニックスである。同社のブースが展示場中央に大きくスペースを取っていることもある。しかし、それ以上に同社が他社から際立つのは、そのブース構成にある。ファイナル・ファンタジーやドラゴンクエストなどゲームは全体のおよそ半分、残りの半分では電子コミックスを含んだマンガ、そして最新のアニメ作品のパネルと映像紹介をする。つまりひとつのブースのなかに、ゲーム、マンガ、アニメ(映像)が同居する。
 総合エンタテインメント化が進んでいるコミコンだが、それは様々な分野の企業が個別に参加することで起きている。結果、全体としての多様化が実現している。しかし、スクウェア・エニックスのブースでは、ひとつの企業が多様なコンテンツを提供している。日本型のメディアミックスを反映し、独特の個性を放つ。

 もう1社他社にない個性を持っていたのがコナミである。こちらはスクウェア・エニックスよりひと回り小さなスペースを取っている。その半分は『遊戯王』のトレーディングカードゲーム(TCG)を実際楽しむ対戦スペースになっている。それ以外も映像を利用した『遊戯王』シリーズの最新アニメ紹介や番組関連の大型フィギュアの展示である。ビデオゲームソフトの紹介はあまりなく、米国ではコナミはTCGの会社という印象を強く打ち出している。他のTCGの会社は、ポケモン・カンパニー以外は積極的にアピールしているところはなく、全米で最も人気のあるTCG、『遊戯王』の存在感を見せつけている。
 コナミは2009年1月より現地企業アッパーデックからカード販売及びゲーム大会運営を全面的に引き継ぎでいる。突然の運営体制の変更は、ファンや小売店に大きな不安を感じさせた。コナミの積極的な出展はそうしたファンや業界関係者に対するアピールもありそうだ。その努力の甲斐もあり、現在のコナミの『遊戯王』TCGの運営はかなり評価されているようだ。現地の業界誌ICv2によれば、『遊戯王』TCGの売上高はアッパーデック時代を上回っているという。
 勿論、ゲームソフトも忘れられているわけではない。コナミが誇るゲームクリエイター「メタルギア」シリーズの小島秀夫さんが、コミコンに参加し、期間中サイン会を開催し、熱烈なファンから人気を集めていた。

 

 他方で別の日本企業カプコンのブースは、米国企業に似たオーソドックスな作りである。海外での事業を得意とする企業だけに、むしろ現地にうまく溶け込んでいるのかもしれない。目玉は『ストリートファイター』や『戦国BASARA 3』などである。
 こちらも稲船敬二さんや小林裕幸さんが日本から参加し、サイン会などを行った。人気のゲームクリエイターの参戦が目立つ2010年のコミコンである。

 

 バンダイナムコゲームスは、今年初出展とことだ。そのためか比較的小振りなブースで、こちらも今後の出方をうかがっている様子に見えた。同社の北米事業が必ずしも強くないことも反映しているかもしれない。
 実際にブースの半分は、アニメーション映画、テレビ番組のゲーム化で実績のあるグループ企業D3パブリッシャーのものである。こちらは、『ベン10』、『NARUTO』などが主力タイトルだ。

 出展の在り方を探っているのは、ゲーム機ハードメーカーも同じだ。キャラクター、作品主導のコミコンではメーカーはやや異質な存在だ。ソニー・コンピュータエンタテインメントはグループ企業でまとまった超大型ブースを構えていた。しかし、PS3、PSPも大きく取り扱っている割にはやはり印象が薄い。
 任天堂のブースも、自社ソフトや自社ハード向けのソフトの紹介が中心で、ハード機自体の紹介は行っていない。Ⅹ-BOXはハード機を並べたが、ブランド名の大きさの割にブースが小さくかなりの混雑ぶりだった。


 
 米国、日本以外からのゲーム会社のソフトもある。フランスの大手ゲーム会社ユービーアイソフト、韓国のNCソフトである。コミコンが米国だけでなく、各国の企業から注目されていることが分かる。
 ユービーアイソフトは『ASSASSIN’S CREED』、『プリンス・オブ・ペルシャ』の両シリーズが大型タイトル。NCソフトはカプコンとEAの間に挟まれてしまったせいか、特長を出し損ねた感じがありやや残念だった。ゲームを中心とした国際企業の出展増加は、今後のコミコンのさらなる国際化を感じさせた

サンディエゴ・コミコン(Comic-Con International: San Diego 2010)
http://www.comic-con.org/