分業制作マンガを顕彰する「さいとう・たかを賞」 第3回受賞作は岩明均&室井大資「レイリ」

 

分業体制で制作された優れた作品を顕彰するマンガ賞「第3回さいとう・たかを賞」の受賞作が決定。原作・岩明均と作画・室井大資のコンビによる「別冊少年チャンピオン」連載作『レイリ』が栄誉に輝き、岩明と室井、担当編集者の沢考史、さいとう・たかをら選考委員からコメントも到着した。

「さいとう・たかを賞」は、『ゴルゴ13』の連載開始50周年を記念して「さいとう・たかを劇画文化財団」が2017年に創設した、シナリオ(脚本)と作画の分業により制作された優れたマンガ作品を顕彰する賞だ。
『レイリ』は長篠の戦いから4年後、武田と織田のはざまで数奇な運命を生きる少女レイリを描く本格戦国時代劇で、池上遼一、佐藤優、長崎尚志、やまさき十三、さいとう・たかをら計5名の選考委員による最終選考会を経て受賞に至った。

なお受賞作品のシナリオライター・作画家・プロデューサーとしての担当編集者(または編集部)のそれぞれには、正賞としてさいとう・たかをデザインによる「ゴルゴ13像」が贈呈され、さらにシナリオライターと作画家には副賞の賞金50万円も授与される。
「第3回さいとう・たかを賞」の授賞式は2020年1月17日に東京・三笠会館にて行われ、同日18時には「さいとう・たかを劇画文化財団」WEBサイトにて最終選考会の会議録が特別公開される予定だ。

<以下、コメント全文掲載>

【シナリオライター/岩明均】

私は自ら作画しての漫画も描くのですが、この「レイリ」に関しては初めから、自分での作画・作品化は無理だと思いました。アシスタントを使わない、というより人に上手く指示・指導ができない性分の私は、普段も「1人作業」でどうしようもなく遅筆となり、すでに進行中の他の1作品を作画執筆するとそれでほぼ手一杯になってしまうからです。
時間はかかりましたが何とかシナリオを完成させた後は、秋田書店の沢さんに漫画家の人選など制作全体を仕切っていただき、漫画家の室井さんには私には無い持ち味を存分に発揮していただきました。今回本作を評価いただいた事、1人作業の時には無い感慨、喜びを感じています。本当にありがとうございます。

【作画家/室井大資】

岩明均先生をずっと尊敬していました。1990 年、雑誌「宝島」のマンガレビューで、「寄生獣」っていうマンガがヤバいってレコメンドされてて、で、読んで。あんなに脳の汁が出る体験ははじめてでした。それ以来ずっと「岩明均」が好きで。ぜんぶ好きです。
だからほんとに、一緒に仕事できるのが信じられなくて、幸福でした。「レイリ」という作品の座組みの中に混ぜてもらえて、本当によかった。レジェンドでありつつ、現役最前線で戦い続けている先生方に、「レイリ」を選出していただけたのは、とても光栄ですし、報われた気持ちになりました。ありがとうございます。
この賞を機に、もっと多くの人に読んでもらえるとうれしいし、賞金50万円もうれしいです。やはりフリーランスにとっての不労所得というのは何にも代えがたいものなのではないでしょうか。50万、地味にうれしいです。何を買おうかわくわくします。ありがとうございます。岩明さんと沢さんもありがとうね。

【編集者/沢考史】

岩明均先生が 12 年の歳月をかけて完成させた原作を、一気に読ませていただいた日の感動を忘れることはできません。完璧な何かがここにあると確信しました。そして、室井大資先生という強烈な魅力を発するもう一人の作家が漫画作品としてあらためて生み出してくださった。
圧倒的な才能が最高の原作と踊るダンスを目の当たりに出来た幸福。今、担当編集者として、完成した作品へ高い評価をいただけたことに、深い喜びと皆様への感謝を抱いております。

【選考委員/池上遼一】

異才と言われる漫画家が、構想から 12 年の歳月をかけて書きためた原作にふさわしい、完成度の高い歴史ドラマに仕上がっている。 その奇抜なストーリーもさることながら、心理描写やアクションシーンの演出に特異な工夫があり、独特のリアリティーを感じさせる。 これも実力ある漫画家が作画を担当したゆえんか…。

【選考委員/佐藤優】

完成度がとても高い。歴史に「もし」は禁物であるが、こういうことが十分あるように思えてくる。着地も優れていて読後感がいい。レイリのキャラクターもチャーミングで、大人の鑑賞に十分に耐えながら、子どもが読んでも楽しめると思える作品。

【選考委員/長崎尚志】

なかなかの傑作。キャラクターもストーリーもすぐれている。死にたがっている人間を影武者にするという設定が上手い。もう少し長く読みたかったが、終わり方がやや淡泊に感じた。

【選考委員/やまさき十三】

主人公は女性ながら戦国武将の影武者という設定。映画やドラマでもよく使われる設定にもかかわらず熱く爽快な青春物語に仕上がったのは、骨太の脚本と、それを静と動の息もつかせぬ迫力ある画面として仕上げた作画の力である。

【選考委員/さいとう・たかを】

室井氏の他の作品は拝見していないが、まるでこのドラマを描くために創られたようなペンタッチの絵である。なかなか見せる。コマの運びもなかなかいい。

[仲瀬 コウタロウ]

「さいとう・たかを賞」特設ページ
https://www.saitotakao-gekiga.or.jp/award/

第3回「さいとう・たかを賞」授賞式
<日時> 2020 年 1 月 17 日(金) 17:00~18:00 (16:45 受付開始)
<会場> 三笠会館本店 6 階 高千穂

『レイリ』
(C)岩明均・室井大資(秋田書店)2016