海外配信サイトが日本アニメを作る時代に 国内企業の動向は? 「AnimeJapan2019」ビジネスデイレポート | アニメ!アニメ!

海外配信サイトが日本アニメを作る時代に 国内企業の動向は? 「AnimeJapan2019」ビジネスデイレポート

3月23日からの4日間、東京ビッグサイト(東京都・江東区)にて、一般社団法人アニメジャパンによる世界最大級のアニメイベント「AnimeJapan 2019」が開催された。今回は25日、16日に実施されたビジネスデイの模様をレポートする。

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「AnimeJapan 2019」ビジネスデイ2日目の模様
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3月23日からの4日間、東京ビッグサイト(東京都・江東区)にて、一般社団法人アニメジャパンによる世界最大級のアニメイベント「AnimeJapan 2019」が開催された。今回は25日、16日に実施されたビジネスデイの模様をレポートする。

アニメ関連の商談の場として毎年開催されているビジネスデイだが、今年はフォーマットの面で様々な変更があった。
一番の変化は従来パブリックデイの前に開催されていた実施日がパブリックデイの後になったことだ。その理由として同イベント総合プロデューサーの西山氏は1月に開催されたプレイベント「AJプレゼンテーション」にて「パブリックデイで解禁となった情報を商談に反映できるようにするため」「客層が近い催事(国際映画祭・香港フィルマート)との競合を避けるため」と述べている。

また会場の面でも変化が見られた。これまで東京ビッグサイト会議棟(施設中央のビル)の1階を使用していたが、今回はさらに6階も使用し面積を拡大させている。
AnimeJapan運営事務局の竹内氏によると「各ブース出展者がスムーズに商談に移行できるようにするため、エリア内にスペースを作り商談用の椅子とテーブルを設置した」という。


またビジネスカルテとその記入スペースも用意された。これは例年設置されているアニメビジネスコンシェルジュと併せて、来場者がより希望に合った企業ブースにアプローチできるようにするためだ。



今回出展ブースは昨年の60小間から微減し57小間となった。昨年ブロックを形成していたアニメや日本関連の海外イベント団体の出展が減ったことを中心に入れ替わりがあったようだ。

海外ポップカルチャーイベント主催社・リードPOPは今年も出展した企業のうちの1つだが、その理由として同社セールスマネージャー平野氏は「NetflixなどOTTサービスの普及に伴い海外のアニメファンは増加傾向にある。25万人が参加したN.Y.コミコン参加者の75パーセントがアニメブース拡大を希望している」「コミコンといえば日本ではアメコミのイベントという印象だが、実際には日本のアニメも含むポップカルチャー全体のイベント。ビジネスデイ出展企業の海外イベント参加を促すのが狙い」と語った。

一方で日本企業の入れ替わりも数多く見られた。2010年設立の印鑑メーカー・TOSYOは『コードギアス』などのキャラクターがあしらわれた印鑑「痛印」やパネル入りの切り絵を展示。同社取締役の川根氏は「痛印は銀行印としても使用できるが、実際には約半数はファンの観賞用として購入されている。木やチタン製の高品質な印章を日本の文化として国内外のファンに届けたい」と出展理由を説明した。

今回初出展となったアパレルメーカー・バロックジャパンリミテッドはキャラクター関連のブランドR4G(Respect For Geeks)のブースを設置した。
プレス担当の山本氏は出展の成果として「ロシア、南アフリカ、中東、タイなどのお客様と商談することができた」という。
同社のキャラクター衣類が注目される理由を「アニメキャラクターをプリントするだけでなく、そのイメージを反映し素材の面も考慮して普段使いできる衣類をデザインできる点に長所がある。海外のお客様からは『同じものが作れない、オンリーワン』と評価いただいている」と説明した。どちらの企業も海外展開を見据えている点が印象的だ。

日本コンテンツ発信プラットフォームのクランチロールは1年ぶりにビジネスデイに出展した。出展理由をプロデュース2部ジャパンリーダーシニアプロデューサーの黒須氏は「業界内でのプレゼンスを改めて高めるため」とした。
同社は米国最大の通信会社であるAT&Tの傘下に入ったワーナー・メディアに属する、海外最大規模の日本アニメ配信プラットフォーム企業である。
一方「AnimeJapan 2019」初日には、同業と言える中国の配信メディアBilibiliとアニメの販売・流通を行う米国のファニメーションの業務提携が発表された。今後海外配信メディア同士の日本コンテンツの取り合いが激化することを見越しての出展ということだろう。

また、いずれのメディアも元々はアニメなどの配信を主としていたが、現在はパッケージ販売や製作委員会への出資など、売る側、作る側に回っているという共通点がある。
例えばクランチロールはワーナー・ホーム・ビデオによるパッケージ販売やクランチロール・ゲームズによるゲームのパブリッシングも可能となっており、アニメを配信だけでなく360°マルチメディア展開することが可能となっている。また、出資したアニメタイトルは『けものフレンズ』など20以上になる。

海外メディアが配信だけでなく作る側に回りグローバルな視点で見たアニメビジネスの中核を担うようになりつつある一方で、ビジネスデイでは在京民放5社およびNHKエンタープライズ、KADOKAWAや小学館集英社プロダクションなどの出版メディア、さらにADKエモーションズや博報堂DYミュージック&ピクチャーズなどのアニメ関連の主な広告代理店のブースも見られた。日本企業やメディアがアニメ業界でのアドバンテージを今後どう活かすのかが注目される。


[アニメ!アニメ!ビズ/animeanime.bizより転載記事]
《いしじまえいわ》
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