マンガ出版の中堅企業宙出版の米国子会社オーロラ・パブリッシング(Aurora Publishing)は、米国の書籍流通・配給の大手ダイヤモンド・ブック・ディストリビュターと同社の発売するマンガの流通について契約を結んだ。
ダイヤモンド・ブック・ディストリビュターは日本で言えば日販、東販にあたる会社で、出版社と小売店を結ぶ役割を担っている会社である。子会社のダイヤモンド・コミック・ディストリビュターを通じて、コミック・マンガの書籍流通で大きな力を持っている。
オーロラ・パブリッシングの発売するマンガは今後ダイヤモンドグループに流通される。オーロラ・パブリッシングは、今回の契約で、現地のマンガファンが自社の発売するマンガにアクセスする機会を飛躍的に大きくしたことになる。
同時にオーロラ・パブリッシングは、今後はより積極的にマンガ出版の事業を強化して行くことになるだろう。
宙出版は、国内では女性向けのマンガに強みを持っている。ハーレクインのコミック版や北米で人気が拡大しつつあるボーイズラブと呼ばれる女性向けの作品を発売する。しかし、新会社設立まで同社の作品の北米出版は、ダークホースやデジタルマンガなど現地の出版社が翻訳出版権を獲得して行なっていた。
そうしたなかでオーロラ・パブリッシングは、中堅出版社による北米でのマンガ出版の拡大を目指して昨年5月に設立された。自社が出版する作品だけでなく数多くの出版社のマンガを出版することで、寡占化が進む北米のマンガ市場で大手出版社に対抗することを目的とする。
これまで日本のマンガの北米での出版は、翻訳出版権を現地の出版社に販売しライセンス料を得ることが多かった。日本の出版社が現地子会社を設立してマンガ出版を行なうのは、小学館・集英社系のVIZメディアに続くものである。
宙出版とオーロラ・パブリッシングの今後の展開は、そうしたビジネスの試みとしても注目されるだろう。