経産省 コンテンツ産業成長戦略とりまとめ 海外売上げ3倍増へ

 経済産業省商務情報政策局文化情報関連産業課(メディア・コンテンツ課)は、この1月より検討を行ってきた「コンテンツ産業の成長戦略に関する研究会」の報告書をこのほどとりまとめた。この研究会は2009年12月に閣議決定された「新成長戦略」を踏まえて開催されたものである。
 日本の経済を支えるコンテンツ産業の実現のため、各産業の識者が集まり討議を行ってきた。浜野保樹東京大学大学院教授を座長に、北川直樹氏、野間省伸氏、和田洋一氏、角川歴彦氏、中鉢良治氏、岡田裕介氏、高井英幸氏、依田巽氏、布川郁司氏が委員として参加した。

 報告書では、2020年の日本のコンテンツ産業の姿を具体的な数値を挙げて掲げる。まず、注目されるのは、コンテンツ産業規模の拡大である。現在年間15兆円の国内外の産業売上げを、2020年には20兆円までに拡大するとしている。
 その中でも海外での売上げ拡大が目指されている。10年後の海外売上高を現在の7000億円から2.3兆円まで3倍以上に展開し、産業内の海外売上げ比率も5%から12%に上昇させるという。さらにコンテンツ産業を日本の主要輸出産業のトップ5まで引き上げる。
 また産業の拡大は、産業の働く現場にも反映させる。これにより一人当たりの売上高を15%増加し、さらに産業雇用規模は現在の31万人から36万人に増加、新規に5万人の雇用が生まれるという。

 こうした2020年の姿を実現するために、報告書は具体的な施策として、1)コンテンツ産業を支える人材育成、2)海外市場獲得:潜在的利益の現実化と収益力強化、3)国内構造改革と新たな市場の開拓を挙げる。
 人材育成では制作現場、プロデューサー、そして高度な能力を持つ海外の人材の受け入れを目指す。また、構造改革と新市場の開拓では下請ガイドライン策定や権利処理システムの整備、書籍デジタル化の対応などを含む。
 より多くの施策が盛り込まれたのは、飛躍的な成長を目指す海外市場獲得の部分である。ここでの主要なテーマは製作・流通のグローバル化、海外展開のための資金調達、海賊版対策、国際見本市などによる情報発信・情報収集である。この中ではコンテンツ海外展開ファンドの創設、アニメ・音楽分野でのポータルサイト構築、CG映像分野への本格参入が挙げられている。こうした施策は今後の何らかのかたちで実現することになりそうだ。

 報告書の中には、これまでの行政の施策に盛り込まれてきたものも少なくない。しかし、その施策はより絞り込まれており、それぞれの施策の背景と目標がこれまで以上に明確になったと感じられる。
 具体的に掲げられた数字は過大な目標とも見えるかもしれない。だが、コンテンツ産業に限らず日本の産業に必要なのは、より高い目標に目指す推進力でないだろうか。よく言われるように、日本のコンテンツ産業の潜在力は大きい。まず、この潜在力を表に引き出すこと、それを引きだした時の姿はこれだと具体的なイメージを与えることは、意外に重要なことなのだ。

経済産業省 http://www.meti.go.jp/
「コンテンツ産業の成長戦略に関する研究会」報告書の公表について
http://www.meti.go.jp/press/20100514006/20100514006.html