アニメ・マンガ・特撮進出 コンテンツ企業目指すフィールズ

 5月10日に発表された平成22年3月期通期決算によれば、パチンコ・パチスロ大手のフィールズの業績が好調だ。売上高は前期比9.2%減の663億4200万円となったものの営業利益は81億2400万円(前期比314.3%増)、経常利益は77億6100万円(同682.9%増)、当期純利益は前年のマイナスから32億8900万円の黒字に転じた。
 この好業績を支えたのが、『新世紀エヴァンゲリオン』関連のパチンコ・パチスロである。期中にフィールズは「CR新世紀エヴァンゲリオン~最後のシ者~」を23万7000台販売し、シリーズ最高の販売数を実現した。パチスロ機「新世紀エヴァンゲリオン~魂の軌跡~」も好調で累計79700台を販売している。
 この結果、フィールズが期中に販売したパチンコ33万台のうち26万台が、パチスロも12万台のうち8万台が「エヴァンゲリオン」関連となった。「エヴァンゲリオン」に支えられた一年と言えそうだ。

 近年、パチンコ・パチスロ業界で、アニメやマンガのコンテンツの利用が拡大している。遊技機の販売単価は高く、ビジネスロットは大きくなるケースが多い。アニメやマンガの権利者にとっては、有難いライセンシーである。
 しかし、そうした作品、キャラクターのコンテンツの価値を一番理解しているのは、それを利用するパチンコ・パチスロ企業かもしれない。それだけにパチンコ・パチスロ企業が自らコンテンツの開発を目指したとしても、不思議ではない。

 実際に最近はアニメ制作会社に直接出資する企業もあり、そうした動きは現れている。「エヴァンゲリオン」関連でヒットを続出するフィールズもそうした企業のひとつだ。
 過去数年間のフィールズの新規事業展開は、まさにコンテンツ・エンタテインメント事業進出の歴史だ。2005年にゲーム会社のディースリー・パブリッシャーズ子会社化(2009年にバンダイナムコHDに売却)、角川春樹事務所出資、2007年にアニメ企画・製作のルーセントピクチャーズ設立、2008年に映画配給・興行のSPO出資といった具合だ。
 2010年に大きな注目を集めたのは、TYOグループからの円谷プロダクション、デジタル・フロンティアの買収である。先に設立したルーセントピクチャーズはアニメ製作会社であると同時に、3D映像の技術で高く評価されている。今回の2社の子会社化で、フィールズにはCG、特撮、3Dと映像テクノロジー技術の高い企業が集中することになる。

 もうひとつ別の動きもある。フィールズは、今年4月6日に小学館クリエイティブと共同でマンガ出版社 株式会社ヒーローズを設立した。出資比率は小学館クリエイティブ51%、フィールズ49%だ。出資比率は小学館クリエイティブのほうが大きいが、コンテンツの利用についてはフィールズ主導が伺われる。
 ヒーローズは、現在、2010年末に青年向けの月刊誌を発売するとだけ発表しており、詳細は明らかではない。しかし、フィールズが5月11日行った決算発表説明会の資料からは、ヒーローズのより詳しい目的が理解出来る。
 ヒーローズの作品は、クロスメディアを前提とした新しいキャラクター、コンテンツの開発となる。フィールズによれば、パチンコ市場で原作のある商品のおよそ30%がマンガ発で、2位のテレビアニメ14%、3位のテレビドラマ11%を大きく引き離している。作品はパチンコ・パチスロ化は勿論、アニメ化も視野に入れたものだ。
 さらにヒーローズの作品制作には、マンガ家、脚本家、プロダクション、監督、デザイナーなどに著名なクリエイターを起用するとしている。かなり力が入ったものであることが伺われる。

 円谷プロダクション、デジタル・フロンティアの買収、株式会社ヒーローズの設立で、フィールズは平成23年3月期にエンテイメント事業に本格的に進出することになる。事業の中核は、ヒーローズによる作品創出、ルーセントピクチャーズ、円谷プロダクション、デジタル・フロンティアによる映像制作、さらにシネマートも運営するSPOによる配給・興行へと結びつく。その規模は大きいとは言えないが、エンタテインメト系の映像コンテンツビジネスがフルラインで揃うかたちだ。
 これにパチンコ・パチスロ化も加わり、自社が持たないゲーム、CD・DVDパッケージについては、円谷プロダクション、ディースリーを通じて事業のつながりの深いバンダイナムコグループとの連携を念頭に置く。
 フィールズの決算ではコンテンツ関連事業はその他事業に分類されている。平成21年3月期のその売上高は1億3000万円、営業赤字6億8000万円だった。平成22年3月期には売上高は6億1900万円、営業損失7000万円と事業は大きく拡大した。平成23年3月期にはさらなる成長が予想される。

フィールズ http://www.fields.biz/