米国の日本マンガ出版社VIZが大規模レイオフ PW報道

 米国の出版業界情報会社パブリッシャーズ・ウィークリー(PUBLISHERS WEEKLY)は、5月11日付けで北米最大手の日本マンガ翻訳出版社VIZメディアが大規模なレイオフを行ったと報じている。報道によればレイオフの対象となったのはサンフランシスコ本社で55人、ニューヨーク事務所5人の合計60人で、全従業員の40%にあたる。合わせてニューヨーク事務所は閉鎖されたとしている。

 今回のVIZメディアのレイオフは、現在の北米での日本マンガ出版の環境を反映したものとみられる。米国ポップカルチャー業界の調査を行うICv2によれば、北米での日本マンガ売上高は2009年に前年比で20%減少したとされている。これは2008年の17%減に続くもので、2007年におよそ200億円あった日本マンガの市場は、130億円まで縮小した。
 VIZメディアは現在、この日本マンガ市場で50%から70%のシェアがあるとみられる。さらにマンガよりも環境が厳しいとされている日本アニメのDVD市場でも10%から20%のシェアがあると見られる。こうしたことから今回の大規模なリストラに踏み切ったようだ。

 VIZメディアは日本の小学館の出資で1986年に設立された。現在は集英社、小学館集英社プロダクションの出資も受けている。日本企業が100%出資する数少ない米国の現地出版社である。集英社からは『NARUTO』、『Bleach』、『DEATH NOTE』、小学館から『犬夜叉』、『名探偵コナン』、さらに白泉社の『ヴァンパイア騎士』、スクウェア・エニックスの『鋼の錬金術師』など他社作品も扱い、2000年前半から半ばにかけて急成長した。また、作品やキャラクターライセンスでも実績がある。
 これまで2000年代半ばからライバル企業であるTokyopopの勢いが急縮小するなかで、数少ない勝ち組企業とされてきた。しかし、現在のマンガ市場の縮小、アニメDVDの不振は、同社にとても無縁ではないようだ。

 それでもVIZメディアは依然、『NARUTO』、『Bleach』などの有力タイトルを保有している。コスト削減により、今後も収益性をあげることは十分可能とみられる。
 むしろ、報道が事実であるとすれば、同社のレイオフの規模は市場の縮小を上回っている。これは今後の市場環境も視野に入れた防衛的な方針とみられ、業界最大手のVIZが今後のマンガ出版についてもかなり慎重な見通しを持っていることになる。今後の業界の動きを考えるうえでは、こちらのほうがさらに気になるものと言えそうだ。

パブリッシャーズ・ウィークリー(PUBLISHERS WEEKLY)
Viz Media Lays Off 60

VIZメディア(VIZ Media) http://www.viz.com/