来場者161万人の中国国際アニメフェアでクリエイティブパワーが爆発

 
公益啓蒙型キャラクターが商業化に向けて大躍進

 アニメフェア出展会場の入り口横に大きな出展をしていたのがMagic Mallが展開している洛ベイビーだ。もともとこのキャラクターは08年に放映されたアニメ『奇趣宝典クラブ』の登場人物だったが、その天真爛漫な性格が多くの人を魅了し、09年には、アニメのキャラクターとして初めて、中国赤十字基金の公益イメージキャラクターを務めることとなった。その後、は社会マネーや公共益促進を促す際に使用されるキャラクターとしてテレビ、ウェブ、ポスターなどポスター掲示などありとあらゆるところで見かけるようになった。この状況について「我々はもともとメディア業界からアニメ、キャラクター産業に入った。我々にとっては、アニメそのものが媒体。だから海賊版を恐れない」とは、同社ブランドディレクターのJohnny Chang氏。今後同キャラクターを中心に据えた専門ショップを杭州と北京で展開する予定という。アニメの登場人物から社会マナーを促すキャラクターとなっていく過程の中で多くの人を魅了してきた洛ベイビーの存在は、昨今における日本のご当地キャラクターブームを彷彿とさせる。そして、メディア企業としてこれを千載一遇のチャンスと見るMagic Mall社。今後の更なる展開が注目される。

  

中国進出は今が正念場。ここで、「忍耐」出来るか否かで中国側の対応も変わってくるだろう

 以上、本リポートでは出展ブースの中でも特に一般の人たちの集客力があったコンテンツを中心に紹介した。このような中、Dream Worksや韓国館といった海外の企業も比較的大規模のブースを出展していた一方で、日本勢は、集英社が小規模の企業ブース、バンダイが物販ブースを出展していただけでに留まった。09年はフジテレビが大規模に出展するなど、これまで比較的積極的に日本企業が参加していただけに、「この時期にこの反応?」という感は否めない。

 確かに中国市場は企画立案から制作、放送、DVD販売、そしてキャラクターマーチェンダイズまで全てを自己完結するまでに成長している。更に参加者数の増加なども含め、その勢いは留まるところを知らない。もし、今回日本企業が積極的な出展をしなかったのが意図的なのであれば、おそらくここが正念場であるとも言える。中国業界関係者や業界を支える行政担当者は常に外資系企業の「忍耐力」を試す傾向にある。これは、何もゲームや、アニメといったコンテンツ産業に限ったことではない。自動車産業や家庭用電気機器など様々な産業において共通して見受けられる傾向だ。それは中国側は常に外資の人たちが「長期的視野にたっての投資」しているか否をパートナーとして認める上で最重要視する傾向にあるからだ。これは中国の経済政策自体が同様の方針から成り立っていることと無関係ではないだろう。
 78年以降、改革開放路線を進めはじめた当時は中国行政トップが自ら日本の大手製造メーカーを訪れ、中国に生産拠点を立ち上げるよう要請したという事実すらある。また、90年代初頭、深せんや広州などの経済特区において、外資系企業はVIP扱いだった時代もあった。香港、台湾、韓国といった、自国より一足先に発展が進んだアジア諸国に対しても同様の態度で臨んでいた。

 このように長い忍耐の時期を経たうえでの繁栄があるからこそ、外資系企業が目先の利益に囚われて中国進出を果たすという姿勢を見逃さないのだ。「喜羊羊と灰狼」といった中国オリジナルの作品が着実に一般層に浸透しているのは事実であるが、同時にNarutoやワンピースのマーチェアンダイズを喜々として購入する人達や、ガンダムのプラモデルに群がる青少年など、数多く見受けられた。また、中国行政側が「推奨」したいコンテンツと実際に人気のあるコンテンツにも「違い」があるいことは今回のアニメフェアから見ても明らかだった。さしずめ、人のマーケットにおける嗅覚は、政治力も凌駕する、といったところだろう。このような人の貪欲な消費に対する思いが強い限り、そして日本で生まれる作品の競争力が高い限り、作品は必ず消費者の手に渡り続けるだろう。また、消費者の意識も、現地でコンテンツ産業に携わる人たちの意識も、徐々にではあるが、確実n変化しつつある。この胎動を見逃さないためにも中国市場を諦めず、果敢に挑戦してもらいたいというのが筆者の日本コンテンツ産業関係者に対する切実な願いだ。