来場者161万人の中国国際アニメフェアでクリエイティブパワーが爆発

来場者161万人の中国国際アニメフェア(中国国際動漫節)で中国のクリエイティブパワーが爆発

 

中村彰憲 (なかむら あきのり)
[筆者の紹介]
立命館大学 映像学部 准教授/博士(学術)
名古屋大学国際開発研究科修了後、早稲田大学アジア太平洋研究センターを経て立命館へ。その間、一貫して海外(主にアジア、東欧)を中心としたゲーム産業の動向と国際分業の可能性について研究を進める。研究を継続するうちに、ゲーム業界とCG、アニメ業界との密接な関係を実感し、研究対象の領域も拡大。
最近の代表的な著作に『グローバルゲームビジネス徹底研究』(エンターブレイン)、『デジタルゲームの教科書』(第6章アジア圏のゲームシーン:ソフトバンククリエイティブ)などがある。
Gamebusinessjpでは、「ゲームビジネス新潮流」を連載中。

 

上海万博と同時進行で進んだ中国最大規模を誇るポップカルチャーの祭典

 今年で第6回目を迎える中国国際アニメフェア(中国国際動漫節、以下、アニメフェア)。これまでと同様に今回も、中国版ゴールデンウィークとも言える労働節のある4月28日~5月3日に杭州にて開催された。
これまで一貫して来場者数が増加してきたが、今年度はついに6日間の来場者が161万人に達した。BtoB、BtoCのそれぞれを内包するフェアには、147カ国から、365もの企業がシンポジウムでの講演や出展という形で参加した。ビジネスデーは4月28日から4月29日まで、30日から5月3日までは一般公開という6日間の祭典だ。
 会場に足を踏み込んで、まず驚かされるのが人の数だろう。会場の入口からその周りまで多くの人たちによってごった返している。また、注目されるのが客層だ。たしかに、中高生の姿も数多く見られたが、どちらかと言えばファミリー層が目立つ。親子連れで参加しているのだ。労働節に合わせて開催されているということもあるが、杭州内から出発している無料大型バスの存在も大きい。地元住民にとっては手軽に最新のアニメ、漫画作品を楽しめる格好の場となっているのだ。

 

クリエイティブパワー爆発。中国オリジナルコンテンツが立ち並ぶ出展ブース

 アニメウェアの展示会場である、動漫産業博覧会内は、A、B、Cと3つの会場に分かれて出展されていた。出展内容に応じて区分されており、産業館と呼ばれるA館は一般的な国際展示場の企業ブース的設え。中国各地域の漫画アニメ基地やテレビのアニメ専門局、大手アニメ制作スタジオならびに韓国館などが並ぶ。
一方、オリジナル、技術及びブランド館とされているB館は特別展示や大型の物販コーナーが設置されていた。ドリームワークスや集英社などの企業ブースの他、スーパー人形劇の人形展示や、世界各地のアニメフェアに関する情報コーナーなど出展内容もかなり多様だ。最後にイノベーション及び流行商品館と呼ばれる、C館は主に物販とベンチャー企業の出展が中心。当然、A館の大規模ブースは正に国際展示会という感がある。特に、入口付近で中国版NHKにあたるCCTVチャンネルが大きく構えているのが如何にも中国という印象を高めていた。

 

今回のフェアで最も注目を集めた『秦時明月』最新作!

 人の動きを見れば現在中国において何が注目されているかの検討がつく。最も注目されていた作品は、おそらく杭州Star Q社による『秦時明月第三部諸子百家』だろう。第三シーズンにあたる本作は、これまで、第一シーズンと第二シーズンが、合わせてDVDとして販売され1万本程度の販売を記録した。  
 店頭おける海賊版占有率90%以上といわれる中国において正規版がこれだけ流れたというのは注目に値する。事実、同日におこなわれた、コスプレショーの盛況ぶりを見る限り、この作品が単に正規販売の本数だけで測れないポテンシャルがあるのは一目瞭然だ。 またブース内で展示されている物販コーナーも大盛況。コミックや、パロディ本、コスプレ写真集から、玩具、Tシャツといったありとあらゆる物品が飛ぶように売れているという雰囲気であった。杭州を拠点としてアニメ会社により制作、プロデュースされているという事をふまえても、質がなければここまでの盛況ぶりには成り得ないだろう。第三シーズンは、今年の秋から、第四シーズンは2011年中の放送が予定されており、更にはDVD販売と『秦時』シリーズのプロダクションプランは既に計画されており、これからの更なる発展が楽しみの一作と言える。

 

ジャッキー・チェンも遂にアニメに!その意図とは?

 この他に会場を驚かしたのが、Jade Dynasty Multi-Media Limited(以下、Jade Dynasty) のブース。大々的に展開していた作品が 『ジャッキーチェンのファンタジア』(以下、『ファンタジア』)だ。有名人のアニメ化といえば、PUFFYや、プリンセス天功などが有名(?)だが、ここにきて、ジャッキー・チェンを主役に据えたファンタジーアニメの制作が進んでいることが大規模なブース出展とともに明らかにされたのだ。同作品を制作、プロデュースしている、Jade DynastyのBranda Leung氏によると『ファンタジア』はジャッキー・チェンとその仲間たちがタイムマシーンのようなものにのり様々な時代に行きながら悪者を倒すという青少年向けアニメとして極めてオーソドックスな作品になる予定とのこと。しかも原作は、アジアを代表するコミックアーティストである黄玉郎。否が応でも期待が膨らむ。

2へ続く