角川G通期決算減収増益 出版好調も映像は苦戦

 出版・映像事業の角川グループホールディングスは、4月28日に平成22年3月期の通期決算を発表した。連結売上高は1359億2200万円の前年比4%の微減となったが、営業利益は51億6400万円(前期比44.8%増)、経常利益53億7500万円(同32.3%増)と利益面での伸びが目立った。また、当期純利益は前期の52億500万円のマイナスから14億2900万円と大きく改善した。
 この業績は同社の当初予想を大きく上回るものである。売上高で2.2%、営業利益と経常利益でそれぞれ29.1%と34.4%、当初予想から上振れした。さらに当期純利益は2.4倍である。角川GHDはこれについて、第4四半期にメディアミックス作品やビジネス書でのヒットがあったためと説明している。

 事業の好調を支えたのは、主力の出版事業である。売上高は734億7600万円(前期比3.3%増)、営業利益77億300万円(同37.3%増)としている。
 単行本では人気作家ダン・ブラウンの最新作『ロスト・シンボル(上)(下)』が好調、文庫本でも『天使と悪魔(上)(中)(下)』がヒット作の筆頭に挙げられている。
 ライトノベルでは『とある魔術の禁書目録』(鎌池和馬)、『デュラララ!!』(成田良悟)、『生徒会の五彩』、『生徒会の六花』(葵せきな)、『バカとテストと召喚獣』(井上堅二)、『文学少女』(野村美月)とアニメ化作品がヒット作に並んだ。ライトノベルが角川グループのアニメ作品に対する原作の供給源になっている。同時にアニメ化が原作の売上げ拡大に貢献していると言えるかもしれない。

 コミックスでは『新世紀エヴァンゲリオン』(貞本義行)、『らき☆すた』(美水かがみ)、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(安彦良和)、『よつばと!』(あずまきよひこ)などのタイトルが挙がっている。
 雑誌は、販売、広告売上ともに厳しいとする。返品率の抑制や原価削減でこうした環境の乗り越えを目指す。ただし、新雑誌「ヤングエース」(角川書店)は、夏のコミックフェアと連動したことから好調だとしている。

 一方、映像事業は苦戦が目立った。昨年に続き営業利益はマイナスで、11億9800万円の営業損失であった。売上高は308億300万円(前年同期比9.2%減)である。
 劇場映画は『ドロップ』、『沈まぬ太陽』がヒットとなったものの、『沈まぬ太陽』の制作原価負担と一部公開映画の興収目標未達などから営業損失となっている。角川GHDは映画配給宣伝事業の効率化目指し、2009年11月に角川エンタテインメントを角川映画が吸収合併している。
 DVD販売では『ドロップ』に加えて、アニメ作品から『涼宮ハルヒ』シリーズ、『生徒会の一存』、『そらのおとしもの』がヒット作に挙げられている。しかし、アニメDVDの売上げは急速に落ち込んでいるとし、来期以降はBD化を進める方針だ。

 クロスメディア事業は、売上高230億3200万円(前期比12.3%減)と減少したものの、営業利益1億8900万円と黒字転換した。しかし、依然、エリア情報誌の苦戦が続いているようだ。雑誌の広告収入の減少は引き続き回復の見込みないとし、大きな影響を受けている。
 今後はインターネット、モバイル事業が鍵になるとみられる。角川モバイルとムービーゲートが合併して2009年10月1日に誕生した角川コンテンツゲートの成果が期待される。

 角川GHDのビジネスは映像化などのメディア展開で書籍・出版作品の認知度を上げ、売上げを拡大する性格が強い。そうした特徴が、22年3月期の出版好調、映像苦戦という構造を作り出しているのかもしれない。それでも2年続きの映像事業の赤字は、経営のバランスからも望ましいものではないだろう。
 平成23年3月期以降は、映像事業の黒字化が課題となる。同時に、映像作品の二次利用も含むクロスメディア事業でのインターネット、モバイル事業の成長性も問われる。

角川グループホールディングス http://www.kadokawa-hd.co.jp/