映画大国インドと日本アニメ その協力の可能性 FICCI FRAMESから

[アニメーション・ライセンスではトーンダウン]
 インドが世界でも有数の映画生産国、消費国であることから、コンベンションでは、既存の映画市場や、新しいメディアの活用について強気の発言が続いた。しかし、そのインド産業界もことIP(知的財産)の話となると途端にトーンダウンする。
 例えばライセンス展開の討論である映画製作会社のエグゼクティブは、「映画のライセンス展開の収入は、ほとんどアニメーション映画から生じています。しかし、私たちはアニメーション分野ではほとんど実績がないのです。そして、アニメーション分野は競争が厳しくリスクが高いのです」とそのビジネスの成長に懐疑的だった。
 映像大国インドにとっても、グローバルに競争の激しさが増す一方のアニメーション分野は格別厳しい市場のようだ。現状で、インドのアニメーションを海外に売るのは極めて難しいとの発言は多かった。そして、国内のライセンス商品の展開についても、流通の未整備がそれを阻害しているとの指摘が多かった。

 そうしたことも理由となっており、インドのアニメーション業界には、現段階ではオリジナルのコンテンツを創ろうという意識は希薄なようだ。それは、中国や韓国、あるいは他のアジアの国々が、オリジナルのアニメーションを輸出すると強い目標を掲げているのとは対照的だ。
 一方で、インドのアニメーション産業は、少なくとも目先はアニメーション制作の受託で大胆な成長を目指そうとの意識が非常に強い。FICCIの中でKPMGが発表したレポート資料によれば、インドの2D、3Dアニメーションの制作コストは、韓国や中国より2割から3割低いという。価格競争の優位性、同質のものがより安く制作出来ますというのがインド・アニメーションのウリなのである。
 
[日本とインドの協力の可能性]
 そうしたインドと日本のアニメ産業が協力出来るとすれば、何が可能なのだろうか。インドにとっては、アニメーション制作の委託の発注元としての期待がある。CG化が急激に進む日本のアニメも、欧米の企業と同様にその制作の一部をインドで行えるのではないかとの考え方だ。
 日本にとってのインド市場の魅力は、巨大な市場だ。膨大な人口と急成長する中間層、日本のアニメは既に人気があるためそこに潜在的な日本アニメ関連の市場の可能性がある。インドのビジネスルールがクリアなこと、他国でしばしば見られる海外コンテンツの厳しい輸入規制もあまりない。

 しかし、現時点では制作におけるビジネスパートナーシップも望むインドとアニメ関連市場の市場開拓の可能性を期待する日本と両者の思惑には溝がある。アニメーション分野での両国の関係をより深めるには、双方のニーズを互いに満たすというやや難しい取り組みが必要になる。
 一方で、こうした既存のニーズを超えた新たな取り組みも考えられるのでないだろうか。実は日本とインドはテクノロジーとコンテンツの双方に強みもつ点で似ている。この双方のテクノロジーとコンテンツを融合させることで、新たなアニメーション(そして映画、ゲーム、マンガ・コミックスも)の周辺産業を広げて行くことだ。既にドコモタタとインデックスが現地で行っているモバイル向けのコミックス配信のようなモバイル市場、そしてインターネット、3Dテレビといった分野は有望市場でないだろうか。
[数土直志]

FICCI FRAMES  http://www.ficci-frames.com/