知財戦略方針まとまる コンテンツの海外展開 重要課題に

 内閣府に設置された知的財産戦略本部による「知的財産推進計画2010骨子」が、このほどまとまった。知的財産戦略本部は、国の知的財産分野の創造、保護、活用施策を計画する。昨年12月より知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会、コンテンツ強化専門調査会の討議を中心に2010年の推進計画を討議してきた。
 これを踏まえて3月30日の本部会合で骨子を取りまとめた。今回の骨子は今年5月に決定する「知的財産推進計画2010」に反映される見込みだ。2010年以降の国のコンテンツ産業戦略にも大きな影響を与える。

[コンテンツ産業の重点課題は海外展開、人材、侵害行為対策など]
 今回の骨子では、知的財産推進計画の重点課題として3つを掲げている。1)国際標準獲得による特定戦略分野における競争力強化、2)コンテンツ強化、3)ベンチャー・中小企業・大学研究成果の活用である。
 なかでも専門調査会が設けられた国際標準の獲得、コンテツ強化は最重点課題となる。そしてコンテンツ強化の中核となるのは、映画、アニメ、出版・マンガ、音楽、ゲームなどになる。2000年初頭からの政府によるコンテンツ産業振興は2010年以降も続く見込みだ。

 コンテンツ強化のなかでは、海外と関わる課題が大きな位置を占めている。認知度の高さに較べて収益に結びついていない日本のコンテンツをビジネス的な成功に結びつけようとする強い意志が伺える。
 その施策には海外展開資金を供給する仕組みの創設(官民のファンド創設)、海外における流通経路の確保、国際共同製作の促進などが含まれる。また、コンテンツの認知度の向上、理解にも力を入れる。こちらはコフェスタなどの国内外のイベントを活用した情報発信、ネットを通じた日本のアニメ、音楽の海外発信支援などである。
 さらにビジネス展開を妨げる著作権侵害対策、日本コンテンツの放送や流通、販売規制を行う諸外国に対する規制緩和の強い働きかけなども行う。「コンテンツの認知度向上」、「流通の確保」、「ビジネス展開の障害除去」が組み合わせられたかたちだ。

 国内での大きなテーマは、人材育成である。特に今回はデジタルコンテンツ関連のワークショップやアニメ・映像コンテンツ制作の高度化などが盛り込まれる。
 このほか二次創作・パロディやネット上での共同創作の権利処理ルール明確化、ネット上の部分引用のルール形成、ポップカルチャーのアーカイブ化・ネットワーク化、コンテンツ特区の創設など様々な項目が挙げられている。これまで以上に広い範囲でのコンテンツ強化が目指される。

[2012年までに海外からのコンテンツ収入2.5兆円目指す] 
 一方で、コンテンツ強化について、今回成果イメージとして目標数値が数多く設置されたのも特徴だ。これまではデジタルコンテンツ市場規模の目標はあったが個別の目標設定はなかった。
 例えば、コンテンツを核とした海外収入を2008年の1兆円から2020年までに2.5兆円に拡大するとしている。また、海外からのコンテンツ関連の留学生は1万人、デジタル・ネットコンテンツビジネスの市場規模は1.4兆円(2008年)から2020年には約4兆円とする。

 こうした数値目標が、産業の領域さえ曖昧なコンテンツ産業で意味のある数字なのかという批判もあるかもしれない。しかし、2000年代のコンテンツ産業強化戦略の多くが目に見える成果を出せなかったのは、目標設定の曖昧さにも一因があったのでないかと思われる。今回の数値目標の設定は、目標達成のためのマイルストーンとして意味があるのでないだろうか。

[政治主導色が強まる知的財産戦略本部]
 また、知的財産戦略本部は、今後も国の知的財産推進のための重要事項の検討、施策の進捗管理の役割を担う。そして、より機動的に問題に対応出来るように4月から組織の改編が行われる。
 これまでは知的財産戦略本部に直轄するかたちで、識者から構成される2つの専門調査会「知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会」、「コンテンツ強化専門調査会」が置かれていた。今後はこれに並列するかたちで、知的財産戦略担当の大臣、国家戦略室、関係府省の副大臣・政務官からなる企画委員会が設けられる。さらに企画委員会の下に、個別課題に応じ、専門家から構成されるタスクフォースのチームが置かれる。

 企画委員会とタスクフォースの設置は、政治主導で機動的に問題にあたることを目指すためである。民主党政権の特徴である政治主導が、知財戦略の分野でも導入される。
 一方で、こうした新たな組織づくりは、民主党政権が知的財産分野を今後も重要とみなしていると考えて良さそうだ。実際に専門調査会とは異なる個別課題のタスクフォースはうまく運用出来れば、確かにこれまでより機動性を高めるだろう。企画委員会の手腕が問われることになりそうだ。

知的財産戦略本部 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/