海外動画配信大手Joost 無料番組配信から撤退

 テレビ番組や映画に広告をつけて無料で配信する。そうしたビジネスをいち早く手がけ業界大手にまで成長したJoostが、一般ユーザー向けの動画配信サービスから撤退することを決定した。6月30日に同社のCEO Mike Volpi氏が明らかにした。
 撤退の理由は、無料の動画配信事業を支えるための十分な広告収入モデルを築けなかったためである。Joostは、放送事業者向けの動画配信プラットフォームの提供事業に特化し、コンシュマー向け事業からは撤退する。同社は事業モデルの転換による大規模なリストラを実施する。

 Joostは、インターネット電話スカイプの創業者メンバーが、動画配信事業の将来性に目をつけて2007年に設立した。同業大手のYouTubeやHuluに次ぐ勢力まで拡大したが、その差は大きかった。有力コンテンツや出稿企業、ユーザーの獲得競争でこの2社に敗れたと言える。
 また、今回のJoostの撤退は、動画配信事業が世界的にみても依然収益化の難しいビジネスであることを示している。

 一方で、もうひとつの大手Huluは、YouTubeに続きビジネスを急拡大させている。しかし、Huluは現在米国以外の地域で事業を展開していない。今後、ヨーロッパなどではYouTubeの勢いがさらに強まることになりそうだ。

 Joostは日本アニメの配信も行っている。『NARUTO』や『DEATH NOTE』、『ふたりはプリキュア』、『SLAM DUNK』など、人気作品も数多い。実際にJoostにおける日本のアニメの人気は高く、トップクラスの視聴回数を誇る作品もある。
 過去1年間で日本のアニメ作品の権利者は、違法配信対策や消費者の関心のインターネットへの移行、そしてテレビ放映に代わる作品の認知度アップの手段として海外の動画配信サイトの利用を活発化させている。そうした中で、よく利用されているのが、YouTube、Hulu、Joost、クランチロールといったサイトである。今回は、そうしたサイトのひとつを失うことになる。

 YouTubeはユーザーが最も多く、世界の広い地域で利用されている。しかし、一般からの投稿動画も含め配信作品数が多く、アニメ作品が埋もれがちである。投稿動画のなかに権利者未許諾の動画も含まれることも問題となっている。
 Huluは同社からの提供される番組だけを配信し、また出稿企業も多いとされ注目が増している。しかし、配信番組になるための敷居が高いことや、米国のみでのサービスがネックだ。

 アニメとアジアのエンタテイメントコンテンツに特化するクランチロールは、アニメのユーザーに最も近く、動画配信の敷居も低い強みがある。一方で、アニメ・アジアコンテンツと枠をつけることで、視聴者の広がりに限界がある。
 Joostは、これらの隙間を埋めるサイトとなっていたが、規模的な広がりに及ばなかった。

Joost  http://www.joost.com/