知的財産戦略本部 ネット海賊版問題に対する調査開始

 知的財産戦略推進事務局は、11月13日より「インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策」に関する意見の募集(調査)を開始した。
 同事務局は、内閣府に設けられた首相直属の組織である知的財産戦略本部を運営している。今回の意見募集は、今後、この問題を検討するための参考となる。

 今回インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策を取上げるのは、映画、音楽、ゲーム、アニメ、マンガといったコンテンツ産業が日本のソフトパワーの源泉、成長戦略の柱であると位置づけられているからだ。 
 しかし、現在、個人がアップロードした著作権侵害コンテンツのインターネットでの流通が、こうした産業の基盤を揺るがしかねない状況と事務局は指摘する。今後成長が見込まれる放送番組やアニメなどのネット配信ビジネス事業への影響も懸念されるとし、この問題への対応を検討する方針である。今回はそれに先立って、広く意見を募集することになった。

 議論する問題点がクリアになっていることもあり、知的財産戦略推進事務局が募集する調査内容(意見)はかなり具体的に設定されている。著作権侵害の発生の抑止、発見、発生後の対策などに及ぶ。
 例えば、侵害コンテンツの削除を容易にする方法、発信者情報の開示の方法、損害賠償金額算定を容易にする方法などである。また、これまであまり注目されていなかった侵害コンテンツを紹介するリンクサイトについても意見を求めるなどかなり踏み込んだ内容だ。

 意見の提出は個人または法人、いずれでも可能である。メール、郵送、ファックスで応募可能だが、日本語での提出とされている。応募期間は既に始まっており、12月13日正午まで受付ける。
 詳細は、首相官邸サイト知的財産戦略本部「インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策に関する調査へのご協力のお願い」で確認出来る。

■ 知的財産戦略推進事務局の調査内容
(首相官邸知的財産戦略本部サイトより)

 (1) 侵害コンテンツの迅速な削除を容易にする方策について
 (2) 権利侵害者の特定を容易にするための方策(発信者情報の開示)について
 (3) アクセスコントロールの不正な回避(注)を防止するための方策について
 (4) 損害賠償額の算定を容易にするための方策について
 (5) 侵害コンテンツへ誘導するリンクサイトについて
 (6) 効果的な啓発活動について
 (7) その他
 (注)例えば違法にコピーされたゲームソフトが正常に機能しないような仕組みを破る行為。

 知的財産戦略本部は、その前身でもある知的財産戦略会議の頃も含めて、過去7年あまりにわたり日本の知的財産権かかわる技術特許や医薬、コンテンツなどの産業政策形成に大きな役割を果たしてきた。このなかにはアニメ、マンガ、ゲーム、映画、放送などのエンタテインメントコンテンツも広く含まれている。
 しかし、2009年は政権交代などの影響もあり衆議院選挙の前後より、その活動が休止したかたちとなっていた。このため戦略本部の今後の行方が注目されていた。

 今回の意見募集は、民主党政権が引き続き知的財産分野の産業育成、振興に入れて行く意志を示したものとも考えられそうだ。知的財産戦略本部のサイトでは、9月16日現在の本部構成委員として、戦略本部長に鳩山由紀夫総理大臣、副本部長に菅直人国家戦略担当大臣、川端達夫文部科学大臣、直嶋正行経済産業大臣の名前が確認出来る。
 また、本部員としてそのほかの閣僚が連なる。民間からも有識者として、角川グループのCEO角川歴彦氏、マンガ家里中満智子氏ら10人がこれに加わっている。

 知的財産戦略本部が新たな政権での最初の活動として、「インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策」を掲げることは、日本の関連企業、権利者にとっては朗報であろう。
 この問題が非常に複雑なものであったとしても、解決へ向けて国が強い姿勢を示すことは、問題解決への道につながるからだ。

知的財産戦略推進事務局 http://www.ipr.go.jp/
知的財産戦略本部 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/index.html