映画配信事業で映画業界が団結、ジャパン・コンテンツ・グループが発足

DSC04450

映像作品を楽しむうえで、動画配信の重要性がますます高まっている。2014年の日本テレビ放送網によるHuluの買収、2015年秋に予定する北米最大手のネットフリックスの日本市場参入、さらに各社がサービス強化に動くなど動画配信を巡る動きも活発だ。
そうしたなかで国内映画会社が団結し、映画配信の新たなサービスを提供するとして動きだした。2015年5月29日にジャパン・コンテンツ・グループ(JCG)が発足、同日事業概要が発表された。

JCGは、2015年にスタートするコンテンツ保有者による直営型映像配信サービス「ボノボ」を支援する任意団体として映画業界が中心に組織された。設立にあたっては、日本映画製作者連盟、外国映画輸入配給協会、洋画メジャー各社、さらに在京民放5社から企業が参加する。設立段階で、すでに29社が名を連ねているという。
会長には映画製作者連盟会長で東映の代表取締役グループ会長の岡田裕介氏が就任した。さらに東宝東和代表取締役社長で外国映画輸入配給協会会長の松岡宏泰氏とウォルト・ディズニー・ジャパンのゼネラルマネージャー塚越隆行氏が副会長に就任した。その陣容からも、邦画洋画を巻き込んだ国内映画業界の団結ぶりが窺える。

記者会見の場では、岡田会長から「映画界で一緒にまとまって」という言葉もあった。目指すのは、動画配信で映画を観ようとしたときまずに選ばれるサイトである。サービス名称「ボノボ」は、地球上で最も人間に近い動物であるボノボに由来する。つまり「ボノボ」は映画に最も近いサイトなのだという。
また塚越氏によれば、「ボノボ」は映像情報ポータルサイトと映像配信サービスのふたつの機能を持つ。その都度課金による映像配信サービスで利益を得る一方で、情報ポータルサイトでは劇場、パッケージ、配信、放送を縦断した作品情報をまとめるとしている。オフィシャルなデータベースと映像配信が結びついたサイトが「ボノボ」と言えそうだ。

野心的なプロジェクトではあるが、JCGは「ボノボ」は現在のある動画配信サービスを意識したものでなく、競合関係にないと説明する。塚越氏は「較べるところでない場所にいる」と語った。ビジネスはこれからも研究していくとするが、確かに現在明らかになっているだけでも、既存の動画配信プラットフォームのビジネスとは大きく異なる。
JCGは「ボノボ」を支援する団体で、プラットフォームの運用はNTTドコモグループのパケットビデオ・ジャパンが担当する。そしてパケットビデオ・ジャパンの役割はシステム運用で、配信コンテンツの確保やマーケティングとは異なる。配信動画は「ボノボ」の参加企業が自ら選定し、価格設定し、配信する。配信権の販売はなく、“直営型映画配信事業”を掲げる理由でもある。岡田氏が「全ての映画がそこにある」と話すように、むしろ映画業界のオフィシャル情報サイト、それに映像配信が紐づくイメージが強い。

とはいえ、映像配信におけるコンテンツホルダーの団結は、動画配信事業者に少なからず警戒心を抱かせるかもしれない。あるいは映画業界に「ボノボ」を通じた国内映画配信をコントロールしたいとの思惑も多少なりとあるかもしれない。
いずれにしてもサービス開始自体は少し先になりそうだ。JCGは「ボノボ」は進化すると説明する。どのように発展し、映像配信全体に影響をもたらすのか。今後も関心を集めそうだ。
[数土直志]