ガンダムUCの挑戦 変わるアニメのウィンドウ戦略

【アニメとテレビ放映の力】

 「脱テレビ」についてもう少し考えてみよう。アニメにおけるテレビ放送抜きのビジネスは、実はここ数年少しずつ増えている。その大きな理由は、アニメのテレビ放映は深夜を中心に、製作費以外に電波代などテレビ局に追加に支払うコストが発生するからだ。
 映像パッケージの売上げが下がるなか、これがアニメ製作にとって負担になりつつある。一方で、地上波、U局ネットで放映することなく発売されるOVAも増えている。そのラインアップには、それまでテレビで放映されていた人気アニメの続編シリーズが少なくない。また、講談社がOADと呼ぶシリーズのCLAMP作品、『魔法先生ネギま!』など、集英社の『To LOVEる-とらぶる-』など、出版社が自社作品を自らアニメ化して、書籍流通で販売する方法も増えている。こちらもテレビアニメの放送は原則ない。

 これらの作品に共通するのは、既に先行する作品・原作があり、知名度が高い点である。作品自体に相応の知名度がある場合、目標とする売上の大きさによっては、テレビ放映は必ずしも重要ではない。
 深夜放送に期待される大きな役割のひとつが作品の認知度のアップだ。しかし、地上波テレビ放送=大型作品との認識とは裏腹に、大型ブランドであればあるほど深夜のテレビ放映から離れていく傾向がある。

 一方で、テレビ放送がもたらすとされてきた宣伝効果自体への疑問もある。つまり、特に深夜25時、26時、27時に放映される場合、どれだけの番組宣伝効果が発生しているか計れないからである。
 視聴率はさほど気にされていない。そして、視聴率が低くても録画で観られているという説明はされている。しかし、それは観たい人が準備して観ていることになる。テレビに期待されるたまたまチャンネルを回している人が作品を知るきっかけになるという効果が、どの程度あるかはあまり明らかではない。

 その宣伝効果の代替として2000年代に入って期待されたのが、インターネットを通じた動画配信だった。ところが、ネット時代を期待して展開された作品が、いずれも知名度が伸びず、商業的に苦戦した。
 例えば、GayOの製作した『NIGHT HEAD GENESIS』、サンライズ作品であれば『リーンの翼』、『幕末機関説 いろはにほへと』、さらにPSSを通じて配信された大型タイトル『亡念のザムド』など、最近ではニコニコ動画発のオリジナル作品もこの中に入るかもしれない。作品の評価は必ずしも悪くなっただけに、これらはインターネットでは作品はファンに届かないという認識を強化した。
 能動的なメディアであるインターネットでの宣伝効果は限定的、やはりテレビの持つ宣伝効果は無視出来ないとテレビの力が再評価されたかたちだ。結果として深夜テレビ放送のビジネスは持続している。

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