黒碕薫×稲垣理一郎×安藤真裕のコラボ企画 第1回オタコンベガス大会リポート PART3

BY ロミ

■ ザ・オールスター・プロジェクト

オタコンベガスならではといえるユニークなイベントは、相撲のデモンストレーションや『スペース☆ダンディ』の先行上映だけに限ったことではない。本家オタコンでの和月伸宏先生の原画展に続き、オタコンベガスでも何か初めてのことを特別企画として行うこととなった。
今回の日本人ゲスト3名にしかできないこと、しかもラスベガスに集うこの唯一の機会にしかできないことを、という趣旨のもと“The Art of Scripting and Storyboarding”というワークショップを開催した。

ワークショップについてお伝えする前に、各ゲストのオタコンべガスでの活動内容について少しご紹介しよう。
通常、開会式での挨拶やサイン会、上映会、プレスインタビューの他にも各ゲストにフォーカスしたパネルがコンベンションでは必ず開催される。筆者がアテンドしたゲスト3名は大会期間中の3日間、様々なイベントに参加し、現地のファンの方々と交流された。

黒碕薫氏
パネルでは昨年夏に本家オタコンで行ったプレゼンテーションをリバイバル。大会には残念ながら参加できなかった和月伸宏先生からのメッセージも伝えると共に、『るろうに剣心』の実写映画の続編制作の他にも、新しくるろ剣プロジェクトが動き出しているので、皆さんどうか楽しみに待っていてください、とファンへ語った。

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稲垣理一郎氏
アメリカの国民的スポーツであるアメフトが題材の漫画『アイシールド21』の原作者である稲垣氏が語る制作当時の舞台裏話にファンや取材班は皆、興味津々。
同作品単行本第10巻収録のラスベガスエピソードを紹介したパネルの他に、サイン会前には稲垣氏によるポートフォリオレビュー(持ち込み作品の評価)も行われた。

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安藤真裕氏
監督最新作の『絶園のテンペスト』がアニプレックスによりプロモートされた。初監督作品の『ストレンヂア 無皇刃譚』の上映会挨拶ではミニQ&Aコーナーを行う。
日本の時代劇映画を参考にしながらも、クリント・イーストウッドやジェームズ・キャメロン監督作品などにも強く影響を受けた作風になったという制作秘話を披露。

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そして今回、贅沢なコラボが実現したワークショップイベント。
筆者もこのワークショップには企画段階から参加させていただいたが(プレゼンテーション用のスライド制作および会場ではMCを担当)、なかなか濃い内容になったと自負している。
ワークショップタイトルに“The Art of Scripting and Storyboarding”とあるように、脚本・ネーム・絵コンテという、実際に消費者が目にする最終形態の漫画ページやアニメ映像になる以前の設計図を各ゲストによる解説付きで紹介した。かなり技術的な専門用語なども登場し、おまけに2時間半という長丁場だったにもかかわらず、170枚以上のスライドによるプレゼンテーションに来場者は一様に目が釘付けとなった。

ゲスト3名からは、日本でもなかなか見られない資料を今回ご提供いただいた。例えば、黒碕さんからは『るろうに剣心 第零幕』の企画段階のアイディアノートや和月先生のネーム2種類、そして完成原稿というサンプル画像をもとに一連の漫画製作の流れを解説いただいた。
稲垣先生からは『アイシールド21』のラスベガス編の稲垣先生ネームと村田雄介先生の完成原稿を見比べ、コマやレイアウトの意図や効果について語られた。
安藤監督は『絶園のテンペスト』第1話のアクションシーンについて、漫画原作で描かれていることをいかにアニメーションに落とし込んでいくか、実際に使われた絵コンテや資料、完成映像を披露した。

あまりの情報量だったのか、最後のQ&Aでは質問ではなく、一人のファンが来場者を代表して謝辞が述べられた。それもそのはずで、今回ワークショップのハイライトとして、黒碕薫さんの小説『るろうに剣心 銀幕草紙変』の1シーンを稲垣先生と安藤監督がネームと絵コンテをそれぞれに切る、というなんとも贅沢で前代未聞なスペシャル企画が会場へ来てくれたファンのためにプレゼントされた。(おまけにボーナスとして和月先生からのチェックも入った、黒碕さんバージョンのネームも紹介された。)
ここまで踏み込んだ内容のパネルは本家オタコンでもなかなか見られず、またその濃すぎるとも言える内容に並々ならぬ集中力で2時間半がっつりついてきてくれた来場者の方々に敬意を表したい。