米国アニメ流通会社 アニメの違法配信に警告

英語圏の大手アニメ情報サイトのアニメニューズネットワークによると、アメリカの大手アニメ流通会社のファニメーションは、ファンサブと呼ばれるファンによる自主翻訳アニメのネット配信が違法であり、直ちに削除するように警告をだした。
アニメニューズネットワークによれば、警告を受けたのは大手ファンサブグループのひとつシンセン・サブスである。ファニメーションは、同グループに対して自社が権利を保有する『Speed Grapher』、『Trinity Blood』、『ドラゴンボール』、『Solty Rei』、『名探偵コナン』、『ツバサ・クロニクル』といった作品をファンサブのリストから削除するように求めた。これらの作品は、既にシンセン・サブスから削除されている。

ファンサブは日本で公開された作品をファンが自ら翻訳を手掛けてインターネット上で配信を行うものである。インターネットの成長と伴に急成長し、近年のアメリカ国内でのアニメDVDの販売不振との関係も取り沙汰されている。これまで日本アニメに携わる企業にとって悩ましい問題となっていた。
こうしたファンサブ活動が法的に対応されなかったのには、法的手段の煩雑さやファンサブ活動が番組の宣伝を担っているという主張、企業が強い態度に出ることでファンからの反発を買うことを恐れていたことなどが原因だといえる。
実際、アメリカの企業関係者にはそうしたファン活動からプロになった人も多く、業界がファンと伴に育って来たと考え、非商業活動のファンサブは大目にみる風潮もあった。
 
これまで、メディアファクトリーが自社の『巌窟王』などの作品についてファンサブグループに削除要請を行ったことはあったが、米国企業、しかも日系でない企業からこうした要請が行われたことは異例だといえる。
こうしたことは、ファニメーションが今年の夏にエンターテイメント流通企業でNASDAQにも上場しているナバレの傘下に入ったことと関係があるかもしれない。つまり、自社のプロパティの違法配信を積極的に容認すれば、それは経営者による株主への背任行為となりかねないからだ。
それと同時に、過去2年以上続くアニメDVDの売上げ不振が、流通企業の余裕をなくさせていることもあるだろう。

心あるファンサブは、作品を配信するのはアメリカ企業がライセンスを収得していない作品だけと自主ルールを設けている。しかし、近年のライセンス獲得の早期化やアメリカ企業による製作出資の増加により、配信出来る作品は狭まってきている。
また、ファンサブの役割とされていた宣伝についても、企業自らがこれまでより内容の濃いプロモーションや第1話の無料配信などを始めており、今後その役割が狭まる可能性がある。
ファニメーションに限らず、ジブリ作品のDVDをディズニー系のブエナビスタが流通するなど、アメリカにおけるアニメビジネスがビッグビジネス化しつつある。こうした中で、ファンサブの在り方も変わってくる可能性があるだろう。