2007年 アニメビジネス10大ニュース

■  アニメーター・演出家の業界組織 JAniCA設立
■  テレビアニメ制作本数減少に転じる
■  テレビアニメの放映中止相次ぐ
■  ジェネオン エンタテインメント(USA)北米市場撤退を決定
■  アニメ違法配信が世界各国で問題化
■  プロダクションI.Gとマッグガーデン経営統合
■  東京芸術大学映像研究科にアニメーション専攻設置に認可
■  劇場版エヴァが大ヒット
■  視聴無料の衛星テレビBS11に大型アニメ枠
■  Japan国際コンテンツフェスティバル開催

■ アニメーター・演出家の業界組織 JAniCA設立
アニメーターの同業者団体JAniCA(日本アニメーター・演出家協会)が10月に設立された。組織としての本格的な活動は、2008年以降になる。しかし、これまでフリーで働くことの多かったアニメーターにとって、情報の交換をし、アニメーターの意見をアピールする場として機能するだろう。
また、アニメ制作におけるアニメーターの環境改善やアニメーターの人手不足とその対策などの包括的な問題などで、JAniCAに対する期待は大きい。

■ アニメ制作本数減少に転じる
2000年代に入り一貫して増加傾向にあったテレビアニメの制作本数が2007年に減少に転じた。特に2007年秋には前年から2割程度減少したとみられる。また今年(2008年春)も、既に同様の傾向が見られる。
過去10年間のテレビアニメ制作本数の増加は、放送局から需要の増加と、アニメビジネス参入を目指す新規企業や投資資金により支えられてきた面が強い。しかし、DVD中心のビジネスモデルでは収益回収が出来ないケースが増加し、事業縮小や撤退が増加している。
一方で、ケーブル放送局、衛星放送局、U局などでアニメ放映自体の需要は増えている。2008年以降はそうした需要とビジネスの採算性の差異がどのように埋まっていくのかが注目される。

■ アニメ作品のテレビ放映中止が相次ぐ
「こどものじかん」、「ひぐらしのなく頃に解」、「School Days」など、社会的な事件や環境を配慮してテレビ放映を中止するケースが続発した。これらの作品は本来は限られたファンに向けられた作品である。しかし、無料で誰でも観ることの出来る地上波放送局、U局の放映で、社会全体の事件や規範の枠組みに影響されやすくなっていることが今回の出来事の背景にある。

■ ジェネオン エンタテインメント(USA)北米市場撤退を決定
日本国外で最大のニュースは、北米の市場シェア第3位で人気作品を多数リリースしていたジェネオン エンタテインメント(USA)の撤退発表である。同社の市場撤退は、アニメDVD売上高減少で苦境に立たされている海外のアニメ流通・販売会社の状況をクローズアップさせた。現地では『Hellsing』などの人気作品の英語版発売中止を懸念する声が挙がっている。
国内では輸出産業としてアニメに期待がかかる。しかし、今回の出来事は海外での人気とは裏腹に、流通を中心とした産業構造の未整備や効果的な海賊行為対策がないことが、日本アニメの海外ビジネス展開の大きな障害になっていることを明らかにした。

■ アニメ違法配信が世界各国で問題
海外での日本アニメDVD流通企業の経営不振の大きな原因とされるアニメの違法配信問題が、2007年には大きくクローズアップされた。違法配信自体は以前からあったが、流通企業の経営悪化が深刻になっていることが理由である。
シンガポール最大のアニメDVD流通企業であるOdexが、違法番組ファイルのアップローダーでなくダウンローダーを対象に法的な手段に訴える構えを見せたことが世界的に話題となった。米国では業界関係者やメディアなどからもこの問題への意見アピールが相次いだ。
日本政府がインターネット上に溢れるアニメ作品の違法ファイル対策協議を米国に呼びかけたことも論争を活発化させた。
一方日本では、YouTubeやニコニコ動画など動画共有サイトに違法投稿されるアニメが大きな論争を呼んだ。大手のパッケージ流通企業のプロデューサーによるニコニコ批判が話題となった。ファイル交換ソフトの利用は、これまで日本人には技術的、心理的な壁が大きく、ネットでの海賊版視聴は少なくなかった。しかし、動画共有サイトの登場により海外と同様の脅威が増大しつつある。

■ プロダクションI.Gとマッグガーデン経営統合
大手のアニメ制作会社のなかで数少ない独立経営企業であるプロダクション I.Gが、11月に持株会社IGポートに移行した。さらに12月にはマンガ出版社のマッグガーデンを株式交換により経営統合し、事実上傘下に収めた。
アニメ制作とマンガ出版という深く関連しながら、これまでビジネスを住み分けることが多かった2業種の経営統合である。またアニメ制作側が主導という点で注目の高い企業再編となった。

■ 東京芸術大学映像研究科のアニメーション専攻設置に認可
東京芸術大学大学院映像研究科にアニメーション専攻が、アニメーションを研究領域とする国立大学大学院として初めて設立認可を受けた。学問、文化としてのアニメーションに対する関心の高さを裏付けた。このほか来年4月開校の明治大学国際日本学部や、学習院大学文学部人文科学研究科身体表象文化学専攻など、歴史の長い総合大学でもアニメーション、マンガを研究領域にするケースが増えている。

■ 劇場版エヴァが大ヒット
10年ぶりの劇場映画復活で注目された『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』の大ヒットが注目された。変わらぬエヴァ人気を見せつけると伴に、作品が世代を超えたロングランブランドに変わりつつあることを感じさせた。続編の『破』の劇場公開予定は現在発表されておらず、2008年に公開があるのか、あるとすればいつの時期になるかが関心を集めている。

■ 視聴無料の衛星テレビBS11が大型アニメ枠
12月1日新たに立ち上がったBS衛星放送局のBS11が週末のゴールデンタイムに大型アニメ放映枠を設けたことが注目される。BS11は、まだ視聴者の少ないBSハイビジョン放送であるが、全国無料で観ることの出来るあらたな放送局であるため、2011年の地上波デジタルの全面移行に向けて今後大きな力を持つ。
地上波放送では相変わらず、ゴールタイムからアニメが減少した状態が続いているため、テレビ放映の多極化を代表する出来事としても注目される。BS11を運営する日本BS放送の社長はバンダイの元社長の山科誠氏である。

■ Japan国際コンテンツフェスティバル開催
日本の様々なコンテンツを世界に発信する大型イベントJapan国際コンテンツフェスティバル(コ・フェスタ)が開催された。アニメの分野からも新しいビジネスの提案であるJAM(Japan Animation Content Meeting)が行われたほか、映像作品が中心のトレーディングマーケットTIFFCOMでもアニメ作品が多く取り上げられた。コフェスタではこのほか、映画、ゲームやマンガ、ドラマ、音楽などが取り上げられている。