ファンサブをライセンス化する新会社設立

インターネット上で米国未公開作品をネットで流通させるファンサブは、企業にとって頭の痛い問題である。米国のファンによるアニメ作品の自主翻訳とインターネットでの作品違法配信活動は、DVD販売などの企業の利益を奪っていると考えられているからだ。
しかし、一方で、こうしたファンサブ流通が日本アニメの濃いマニアを培い、口コミによる日本アニメのトレンドを作り出しているという指摘もある。米国ファンの一部にはファン活動の当然の権利と主張する向きもある。企業にとっては、なかなか手を出し難い状況が続いている。

今回、こうした問題に解決策を投げかけるベンチャー企業が米国に立ち上がった。その会社はインターナショナル・アニメ・ディストリビューション(International Anime Distribution)(IAD)と名付けられ、企業からインターネット送信のライセンスを獲得し、ライセンス化されたファンサブとしてインターネットで流通を行う会社である。同社は、自ら小さなベンチャー企業としており、作品のライセンスを提供する企業とファンサブを行うファンサブグループの募集を行っている。
無論、ビジネスを拡大するための課題は多い。ビジネスとするからには収益源が必要だが、もし会員制とするならこれまで無料でファンサブを利用してきた人がどれだけ有料のシステムに参加するのかといった疑問がある。
また、プライドと自立心が強いアメリカのファンサブグループがこうした提案に本当にのるのか、多くのマスターライセンスを所有する日本企業がこうしたビジネスを受け入れるのかといった課題も多い。

IADのビジネスが非現実的、時期尚早との見方もあるかも知れない。しかし、インターネットのファンサブ自体、その歴史がさほど長いわけでない。時代なんかあっという間に変わってしまうことは、1980年以降の日本の経済や政治を見てきた日本人こそが一番判っているはずである。
こうした不確かに見えるビジネスが将来のビックビジネスに育たないとは断言は出来ない。そのためにも、IADは多くの作品のマスターライセンスを持つ日本企業をこのビジネスに参加させる必要があるだろう。

しかし、大切な点はいかなる歴史的な経緯があるにしても、現在のファンサブの状況は明らかに違法な存在であることだ。そして、海賊版DVDや海賊商品の取締り、国内と国外の著作権管理の整合性を考えれば、ファンサブの現状になんらかの解決策が必要とされている事実だ。少なくとも時代の流れはIADにあり、今後のこうした流れを実際に生かすことが出来るかが重要になってくるだろう。