「MONSTER」米国で大攻勢 iTunes向け販売も

 浦沢直樹さんの人気マンガ『MONSTER』とそのマンガを基にマッドハウスが制作したテレビアニメが、この秋より北米マーケットで大攻勢をかけている。現地で『MONSTER』のアニメとマンガの双方を手掛けるVIZ メディアが行っている。
 まず、10月12日から米国の大手ケーブル放送局 サイファイチャンネルでテレビアニメシリーズの放送を開始し注目を集めている。さらに10月13日には北米のiTunesストアで番組のダウンロード販売を始めたほか、12月8日からはDVDの発売も開始する。

 近年、米国で日本の新作アニメの放映枠が急減している中で、『MONSTER』のテレビ放映は画期的なことだ。それも月曜日の夜11時から12時の1時間と、ヤングアダルト向けの作品にとってはかなり良い時間帯となっている。
 iTunesストアでの販売は、サイファイチャンネルで放映された翌日から2話ずつ行われる。海外のテレビ番組ではテレビ放映とiTunes向けの販売を連動させたものは少なくないが、日本のアニメでは初めてのケースである。北米のアニメDVD市場の苦戦が伝えらるなか、新たなビジネスの試みとなる。

 一方、そのDVDでも、積極的な展開を行う。12月8日に発売されるDVDは、ディスク3枚15話収録のBOX仕様である。つまり、こちらもテレビ放映が終わったばかりの15話を、間を空けずに発売することになる。
 価格は定価59.99ドルとなっているが、実勢価格は30ドル超となると見られる。日本円で3000円程度と、一般のファンにも手が届き易い。
 米国ではアニメのテレビ放映はDVDの販売に大きな効果があるとされている。今回は貴重なテレビ放映を、DVD、iTunesストアの両方にいち早く結びつけることが、当初からスケジュールされたようだ。
 浦沢直樹さんの原作マンガは、既に18巻までやはりVIZ メディアから発売されている。マンガ販売についても、アニメ展開、テレビ放送と強い結びつきがあるとされているからこちらも大きな期待がかかるだろう。

 今回のVIZメディアのビジネス戦略は、これまでの同社の方向性とやや異なることも注目される。従来の同社の有力タイトルは『NARUTO』や『Bleach』、『犬夜叉』と言った少年向きの大衆的な作品である。
 『DEATH NOTE』は『MONSTER』に似たマーケットを持っていたが、今回は『DEATH NOTE』よりももっと大衆的な市場を狙っている節が伺える。つまり、これまで日本のアニメが得意としてきた大人向けのマニア市場でなく、大人向けの大衆市場の攻略である。
 大人向けの大衆市場は、北米ではまだ基盤を築いていない。しかし、大衆市場はマニア向けの市場に較べると、海賊版による影響が比較的少ない領域でもある。『MONSTER』の挑戦は、北米での新たなアニメビジネスの挑戦とも言えそうだ。

VIZ メディア http://www.viz.com/


TDCS開講!