ソフトバンクG 韓国オンラインゲーム会社買収

8月30日に韓国の大手オンラインゲーム企業Gravityは、同社の大株主で取締役であるキム・ジュンユル氏とその家族、資産管理会社が同社の株式の52.4%にあたる所有株全てを日本の会社EZER INC、テクノグルーブ、アイジアングルーブに売却すると発表した。これにより同社の経営は、創業者のキム一族の手から離れることになる。
Gravityの発表では買収価格は明らかにされていないが、朝鮮日報の日本語版によれば約400億円とされている。もしそうだとすれば、日本企業による韓国企業買収としては過去有数の規模となる。
朝鮮日報はさらにGravityがテクノグルーブ、アイジアングルーブ傘下の日本のオンラインゲーム会社ガンホーオンラインと合併するのではないかと伝えている。ガンホーオンラインは、Gravityの所有するオンラインゲーム『ラグナロック』を日本でライセンス展開している。

今回買収側になるEzer、テクノグルーブ、アイジアングルーブは、ソフトバンクグループの会社で大株主にソフトバンク会長の孫正義氏の弟である孫泰蔵氏が名を連ねている。また、これら企業は3月にヘラクレス市場に上場したガンホーの大株主でもある。今回の買収には、上場により発生した利益と含み利益が利用されたと考えられる。
一方GravityはNCソフトなどと伴に韓国有数のオンラインゲーム会社として知られており、2004年の売り上げは644億ウォン(約64億円)、経常利益が292億ウォン(約29億円)となっている。
ライセンスを提供するゲーム『ラグナロック』は世界中で人気を集めており、ライセンスを中心とした収益構造も優れている。また、近年ではアニメ制作や出版事業に乗り出している。

金で時間を買うと言われるM&Aであるが、東アジアのオンラインゲーム市場で韓国企業の優勢は周知の事実。今から流通網や顧客の獲得を最初から作るのはかなりの時間と努力が必要になる。
ソフトバンクグループ側には、仮に企業価値にプレミア価格をのせたとしても、そうしたブランド、ライセンス、ノウハウや仕組みを一挙に獲得することに大きな価値があるとの判断が働いたと考えられる。
いっぽう、株を売却したGravityのキム一族にとってもメリットはある。現在は、世界で一番と言われる韓国オンラインゲームだが、市場では中国、台湾企業の成長が著しい。日本や欧米諸国も大きな資本と技術力を背景にこの市場への攻勢を強めている。
また、大市場である中国では、国産ゲームの振興に合せて海外オンラインゲーム会社に対する圧力も強まっている。こうした中で、企業に高い価値がついている現在が売り時と判断したといえる。

今回のような買収が今後も続くとは言い切れない。しかし今回の買収はゲーム分野のビジネスが国境を越えていることをあらためて認識させることになった。