トラブル続く米アニメ制作会社の決算

米国のウォールストリートジャーナルによると米国の大手アニメーション制作会社のピクサーが、第2四半期決算の情報開示を巡って米証券取引委員会から非公式の調査を受けているという。調査の焦点は、ピクサーがアニメーション作品『Mr.インクレディブル』のDVDの返品が同社の予想を上回っていることを意図的に隠した疑いである。
同様の調査は既にドリームワークスでも行われており、こちらは『シュレック2』のDVDの大量の返品を隠していたとされる。ドリームワークスについては、現在この件に関して株主代表訴訟になっている。ドリームワークスは、4月-6月四半期の決算は売上高が急減し、ピクサーも同四半期は大幅な減収減益であった。

しかし、両社が決算発表について重要事実を隠していたかと同時に重要なのは、両社の決算修正の原因がアニメーション作品のDVDの売れ行き不振によるものであることだ。ドリームワークスの『シュレック2』、ピクサーの『Mr.インクレディブル』は、2004年の米国映画界を代表する大ヒットアニメーション作品である。そのDVDが売れないという問題点である。
勿論、実売数に注目すれば数千万枚単位でDVDを売る『シュレック2』や『Mr.インクレディブル』は大ヒットである。しかし、問題は従来の映画ヒットから考えられる枚数に売上げが達していないこと、DVDが発売直後に爆発的に売れてその後急激に売れなくなるというアニメーション映画に限らない映画界全体の最近のトレンドである。
つまり、映画公開後で作品が話題になっている時にはDVDは売れるが、ブームが過ぎればと途端に売れなくなる。このため劇場作品のDVDの発売は、映画公開から発売までの期間が短くすることで対応している。
ところが、ここ最近続いている米国映画市場の観客動員数の減少はこうしたDVDの発売環境に影響を受けているとされている。消費者が劇場に行かずにDVDのみで作品を鑑賞するためだという。このため、米国の映画界では劇場観客数とDVD販売の不振が同時に進行するという奇妙な状況に陥っている。

こうした状況は、特に巨額の製作投資を行う劇場3Dアニメーション作品に打撃を与える可能性が高い。レベルの高い最新のCGアニメーション技術を用いる米国の大作アニメーションは通常の映画以上に製作費がかかっており、大ヒットしてさえ投資資金の回収が困難になる可能性があるからだ。
とりわけ、近年、相次いだドリームワークスやピクサーの3DCGアニメーションの大ヒットにより、米大手製作会社による3DCGアニメーションの製作が相次いでいる。作品数の増加による競争激化も加えると、今後の米国の3Dアニメーションの展開は要注目だろう。