再編続くゲーム業界 スクエニがタイトー公開買付

ゲーム会社大手のスクウェア・エニックスは、同じくゲーム会社大手タイトーに明日23日から9月31日までの期間で株式公開買付(TOB)を行うことを発表した。株式公開買付の目的は、ゲーム・アミューズメント業界での変革に対応し総合化するためとしており、TOBが成功すればタイトーはスクウェア・エニックスの連結子会社となる。また、その後は株式交換を利用した完全子会社化を目指すことになる。

スクウェア・エニックスがTOBに成功すれば、ゲームソフトの強いスクウェア・エニックスと業務用機器に強いタイトーが合わさった強力なゲーム会社が新たに誕生することになる。買収後の企業規模は両社を合せた売上高で約1500億円となる。
これは、セガサミーの5150億円、バンダイナムコの4600億円、コナミの約2600億円には及ばないが、ゲーム部門だけに限るなら、業界でもトップクラスになる。玩具やパチスロ、アニメといった業界ではなくゲーム業界に特化したことで両社の連携効果があがる可能性は高く、さらに両社のソフトのファン層は重なりが少ないため高い統合効果が発揮出来る。

TOBの買付価格は市場価格よりおよそ20%高い18,100円で、目標買付株数は全株式の67%以上、67%未満だとTOBは不成立になる。今回のTOBに対してタイトーの大株主の京セラとタイトーの取締役会は賛意を表明している。京セラは今回のTOBに応募をし、TOBが成功すれば取締役、監査役を全て引き上げタイトーの経営から完全に撤退する。

今回のTOBの発表は驚きと同時にやはり来たかという面も強い。昨年のセガサミーの経営統合、今年の春のバンダイナムコの経営統合発表とゲーム・玩具業界は急激に再編されつつある。この2社に任天堂、コナミを加えた売上げ規模で3000億円から5000億円規模の会社が業界のトップに並ぶことになる。5月に発表されたタカラとトミーの合併もこうした動きを受けたものだった。
こうした業界再編の中で、一昨年に合併をしたばかりのスクウェア・エニックスであるが、売上高1000億円以下で規模の面から業界内で劣勢に立たされることになる。こうしたことから兼ねてからスクウェア・エニックスは、自らが主導権を握る企業買収を手掛けたいとしていた。

今回のTOBで驚かされるのは、単純に売上高だけをみればスクウェア・エニックスの640億円に対して、タイトーの売上高は845億円で小が大を飲み込むかたちになったことである。しかし、人気ソフトを数多く抱え財務体質の優れたスクウェア・エニックスの株式時価総額は約3300億円とタイトーの約600億円を大きく上回っている。会社の規模が会社の価値と同じでないことを現す良い例だといえるだろう。
逆に言えばタイトーは、そうした会社規模の利点を経営に生かしてこなかったことになる。つまりタイトーは、経営の改善により大きく利益を伸ばす可能性を持った会社だといえる。それが今回市場価格の20%増しでタイトーに公開買付を行う理由でもあるだろう。

現在タイトーの持株が全くないスクウェア・エニックスだが67%(2/3)以上で成立するこの公開買付が成功する可能性どの位だろう。おそらく成功の可能性はかなり高いと考えて良い。
大株主の京セラの売却意向に加えて、タイトーの取締役会も今回のTOBに賛同しているからである。タイトーの取締役会には、タイトーの創業者ミハエル・コーガン氏の遺族も含まれている。今回のTOBは創業者一族であるコーガン家も了解済と想像出来る。京セラと創業者一族の株式を合わせれば株式の半数近くに達する。
これ以外の株主は、海外投資家や個人投資家が目立ち、機関投資家を含めて今回のTOBに反対する株主は見当たらない。TOBは目標の67%を大きく超えた株数で成功するだろう。

国内ゲームハード・ソフト会社の売上高ランキング(2005年決算期)
任天堂      5150億円 (1兆6000億円)
セガサミー    5150億円 (1兆1000億円)
バンダイナムコ 4600億円 (4600億円)
コナミ       2600億円 (5100億円)
スクエニ+タイトー 1485億円 (3900億円)
タイトー      845億円 (600億円)
スクウェア・エニックス640億円 (3300億円)
カプコン     400億円 (650億円)
コーエー     277億円 (1400億円)
()内は時価総額