北米のマンガ事情 第15回 北米で日本マンガは今でも人気なのか-3- by 椎名ゆかり 

文化輸出品としてのマンガ-北米のマンガ事情
第15回
「北米で日本マンガは今でも人気なのか - 北米のマンガ人気と“クール・ジャパン”」 PART3

 
椎名ゆかり
 

デジタル市場

「以前と変わらず人気がある」という言説には懐疑的な筆者だが、日本のマンガの海外展開ではまだ希望があると感じている。誰もが思いつくように、活路を見出す先はデジタル市場だ。
ICv2の「白書」ではアメリカ産のコミックスに比べて日本産のマンガはデジタルへの対応が遅いと指摘されているが、それだけに、いやそれだからこそデジタル市場に対するこれからの期待は大きい。日本産マンガの売上を阻害していると見られるスキャンレーション対策にも、デジタル販売は有効だろう。

2011年の数字で北米のコミックスのデジタル市場は2千5百万ドル。日本産も含めた北米のコミックス市場全体に占める割合は4%に過ぎないが、2012年にはその3倍になると予想されている。
一般書籍では2012年第2四半期で全売上の22%をデジタルが占めたアメリカでも 、コミックスにおけるデジタルへの移行はそれほど進んでいない。
しかし、これまでに出た市場報告では、コミックスのデジタル販売が紙販売に対してネガティブな影響があるどころか、むしろポジティブな影響があるとの分析結果も出ている。当初コミックス専門店への配慮からデジタルに対して躊躇していた大手コミックス出版社も、デジタルと紙の同日発売やデジタル版に紙版のディスカウントチケットをつけるなど、様々な販売方法を試している。

日本産マンガでも、例えば日本の主要なマンガ出版社が協力して設立した「Jmanga」サイトや『少年ジャンプ』のデジタル版『Shonen Jump Alpha』など、デジタル販売に対して積極的な取り組みが行われている。
それに加えて画期的だと思うのは『エヴァンゲリオン』の最新刊13巻が紙版、電子版ともに日本と世界で同日発売されたことだ。コレクター向け商品としての側面もあるアメリカのコミックブックと日本産のマンガの単純な比較に意味はないが、「白書」によると、コミックスのデジタル販売で鍵となるのは、紙版と電子版の同日販売という。『エヴァンゲリオン』の最新刊の売上には注目したいところである。
 

2ページ目海外でのマンガ人気と「クール・ジャパン」へ続く