北米のマンガ事情第14回 クラウドファンディング ―アメリカにおけるコミックスの自費出版 PART3

●ウエブコミック

90年代初頭、ITやコンピューター関連に親和性の高いテーマを皮切りに、数々のウエブコミックが登場し始めて、それまでの紙の自費出版とは別の形で個人の手によるコミックスが流通し始めた。今でも電子書籍のマネタイズについてはどこも苦労しているが、アメリカでのウエブコミックはその黎明期からどうやってアーティストがウエブコミックで食べていくかが常に大きな課題となっていた。
結果的にアーティストの収入源としてよく使われた方法は、
(1)広告収入
(2)定期購読
(3)1章ごと等の小額販売
(4)寄付
(5)紙の本または関連グッズ販売
(6)1から5までのどれかの組み合わせ
、と言われている。

日本でも『マンガ学』で知られるスコット・マクラウドは、ウエブコミックについても多くを語り、その可能性を追求していたことでも知られているが、ウエブコミックで収入を得る方法では小額での販売を支持し広告収入を嫌っていた。しかしほとんどのウエブコミックのアーティストは、できる範囲で上記5つの方法のいずれかを試していた。
最も人気のあるウエブコミックのひとつである『Penny Arcade』の作者は今では社員を数人抱え、大手から紙の本を出し関連グッズを販売し、『Penny Arcade』の名前を冠したコンベンションも運営するほど成功しているが、まだごく初期の頃はほぼ1年間寄付だけで生活していたこともあったということである。

『Penny Arcade』のように、ウエブコミックのサイトでアーティストが読者にコミックス販売という形ではなく、寄付という形でお金を募るのは珍しいことではない。つまり、Kickstarterでpledgeを提供する行為は、これまでもウエブコミックの読者が作者に対して行ってきたこと――本や関連グッズを購入し、寄付をする――とあまり変わらないのである。

ちなみに『Penny Arcade』もサイトから広告をなくすことを目指してKickstarterにもプロジェクトを立ち上げ目標額を達成している。

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