経済産業省は7月24日に、平成24年度のクール・ジャパン戦略推進事業の採択案件を発表した。クール・ジャパン戦略推進事業は、国が勧めるクール・ジャパン戦略の一環として実施している。
日本のライフスタイルや価値観を取り入れることで、海外市場の獲得や海外からの観光客の誘致、地域の活性化につながるプロジェクトを公募する。クール・ジャパンの関わるビジネスの持続的発展の視点から、応募されたなかから15件の事業を採択した。今年度は110件の応募があった。
採択案件には、通常のビジネスプロジェクトとは異なった企画も多数見受けられる。ビープラッツ株式会社による「VOCALOID TransPacific」プロジェクトは、今年度発売予定の英語版「VOCALOID」を核に楽曲の発表・流通・放送を行うというものだ。電子機器見本市CESへの出展も視野に入れる。
アジアにおけるコンテンツ展開にかかわるものも目立つ。森ビルが提案したプロジェクトは、アニメなどを利用して中国・上海の富裕層の市場開拓を狙う。また、ティ・ジョイは映画館を活用し、映像コンテンツを日本と香港で同時展開する。ティ・ジョイは、『劇場版 TIGER&BUNNY』や『009 RE:CYBORG』のアジア同時公開を予定している企業だ。
このほかインドでのキッズコンテンツ展開を目指す「ジャパコン・キッズTV」、インドネシア版『料理の鉄人』のプロジェクト、トヨタ自動車をテーマに日本のアニメ、SNS、携帯向けゲームをタイでローカライズするものなど多彩だ。
企画全体では、コンテンツやファッション、食の単体の事業というよりも、そうしたものを流通やインバウンドに結び付けたものが多くなっているのが特徴だ。そこからは、クール・ジャパンを切り口に各国の消費者の関心を喚起し、さらに市場を創出するという方向性が見える。
日本ノコンテンツは認知度や人気は高いけれどもビジネスにはなかなか結びついていないと指摘さされることが多い。そうしたこれまでの弱点を克服するためのプロジェクトといった位置づけが理解できる。
経済産業省 http://www.meti.go.jp/
[平成24年度クール・ジャパン戦略推進事業 採択案件]
■(仮)TOKYO shibuya ×singapore
株式会社パルコ (シンガポール)
アパレル・ファッション×現地流通×地域情報発信
■「HARAJUKU +」
アッシュ・ ペー・フランス株式会社 (台湾)
アパレル・ファッション・デザイン×現地流通×地域情報発信
■ TOKYO FASHION WEEK
一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構 (サウジアラビア、中国)
ファッション及びライフスタイル商品群×現地流通
■ クールジャパン・インドネシア
楽天株式会社 (インドネシア)
中小企業の海外進出プラットフォーム構築
■ 上海におけるコンテンツ×地域情報発信事業―地域への富裕層インバウンド促進―
森ビル株式会社 (中国(上海))
コンテンツ×地域情報発信
■「VOCALOID TransPacific」プロジェクト:VOCALOIDを活用した音楽ビジネス基盤創出プロジェクト
ビープラッツ株式会社 (アメリカ合衆国(西海岸及びハワイ州))
コンテンツ×消費財
■ インド市場 ジャパコン・キッズTV事業
株式会社 ビーエスフジ (インド(ムンバイ、デリー、バンガロール他))
コンテンツ×消費財
■ 日本のコンテンツのためのニュー・アジアン・プラットフォーム
株式会社ティ・ジョイ (香港)
コンテンツ×消費財(キッズ向け)
■ 「料理の鉄人~Iron Chef」等日本のコンテンツを梃子にしたインドネシア日本食産業インキュベーション
株式会社インドネシア総合研究所 (インドネシア)
コンテンツ×食
■ クール・ジャパン流コンテンツ×車による相乗的プロモーション
トヨタモーターセールス&マーケティング(株) (タイ(バンコク)他)
コンテンツ ×車
■ 日本食産業海外展開システム実証プロジェクト
株式会社ぐるなび (タイ)
食×地域
■ 日本食文化普及プロジェクトin France ~日本テーブルアート展~
在日フランス商工会議所 (フランス)
食、地域産品×現地流通
■ 「知られざる日本」 アジアと日本の各地方の“架け橋”事業
株式会社ブレインワークス (ベトナム(ホーチミン))
地域産品地域情報発信インバウンド
■ 京都ものづくりのブランド化による中国進出中小企業支援プロジェクト
株式会社 細尾 (中国(上海))
地域産品、すまい、×現地流通
■ おもてなしによる日本旅館 海外展開プロジェクト
株式会社加賀屋 (中国(大連市・瀋陽市))
おもてなし・食・工芸品インバウンド